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日付の入らない夢を見る人(最終回)

ワタミ社長・渡邉美樹 ―― 地球にひとつの教科書を創る日

  • 高橋 三千綱

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2006年12月22日(金)

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 名門校であった「郁文館」の理事長になった美樹さんは、惰性の中に埋没している教師を見て驚いた。

 20年間も変わらぬノートで授業をする人、翌日の授業の予習もせずに、終業ベルが鳴るとさっさと帰る人。朝礼のとき、煙草を吸う人、生徒の後ろで朝飯を食べている人。

 図書館で本を借りた教師は、1カ月でたった3人。その彼らの年俸は、43歳で1000万円。それが日本の教育現場の現状だった。

 教師は聖職だ、と常々信じていた美樹さんは、全教職員の前でいった。

 「学校というのは、生徒の幸せのためにあるんだ。君たちは生徒の幸せのためだけに、仕事をしていますか。生徒のために命を捨てられますか。命を捨てられるような先生じゃなかったら、ぼくは一緒に仕事をしたくありません。そうじゃない人は辞めてください」

渡邉 美樹氏
渡邉 美樹(わたなべ・みき)氏

1959年神奈川県生まれ。明治大学商学部を卒業した後、経理会社に半年間勤務。その後、佐川急便のセールスドライバーとして働き、独立資金を貯める。84年、渡美商事を設立。86年、ワタミを設立し、翌年、ワタミフードサービスに社名変更。96年に店頭上場し、2000年に東証1部上場。2005年春、ワタミに社名変更。

 生徒には点数をつけるくせに、自分には、労働者の権利を主張して、評価をくださない。そういう教師に美樹さんは憤りをもった。

 そんな美樹さんの姿勢に反発した教師の3割から4割が、憤然と辞めていった。

 「やる気はあるのだが、どのように教えたらいいのか分からないと、戸惑っていた教師も、3年経った今は全員、生徒の幸せのためということで、一丸となってやっています。生徒も自分の目標をもって、勉強する姿勢ができてきました」

 十数年後には、日本のリーダーを排出する学校にしたい、と美樹さんはいう。

 では、日本の教育界を考えると、今、何が必要か、ということに関して、美樹さんは、

 「日本の学校には健全な競争原理が働いていない」

 と、いう。生徒に向き合わない先生を雇っていても経営が成り立つのは、国や地方自治体から「助成金」が出るからで、その大部分が、教職員に支給されている。

 これを「教育バウチャー制度」を導入することで、教育を変えられると主張する。教育バウチャーとは、学校教育のためにしか使えない金券のことで、これを生徒の保護者を経由して使う。それは、保護者が、自分の子供を通わせたいと思う学校に、その金券を使えるようにするシステムのことだ。

 「ぼくは子供たちが好きなんです。彼らのことを考えると、そういうシステムにするのが一番いいんです」

 自分の子供たちに対しても、ずっと寄り添う形で美樹さんは、接してきた。ふたりの男の子に対して、

 「今、こういう状態で会社が苦しいという話も、小学生だった子供に話していた。でも、こうやって立ち直ってみせるともいっていました。いつもぼくは仕事を通しての感動を常に喋り続ける。それは、1500人の郁文館の生徒に対しても同じですし、今年ワタミに入社した、500人の新卒の社員に対しても同じなんです」

 「ワタミ」では、外食産業だけでなく、農業、環境、教育、介護、の事業を手がけている。教育は昔からの熱い思いの結果だが、それ以外は、偶然の成り行きだった。

 まず、農業だが、これは居食屋「和民」を立ち上げたときから、料理には、農薬を使わない、有機野菜を使うようにしていた。他の商品も冷凍食品を使わない、手作りだったから手間がかかった。

 「おかあさんが子供に食べさせたいと思う商品を開発したい」

 という思いがあったから、有機野菜を客にだすのは美樹さんにとっては必然だった。

 ところが、農協に頼んでも、有機野菜の安定供給は難しいといわれた。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長