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働かない人間の理屈

  • 遥 洋子

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2007年1月12日(金)

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 個人を見ていると気づきにくいが、家族でも職場でも、あるひとかたまりの組織を眺めると、あきらかに、働いている人間と、働かない人間がいることに気づく。

 私の知人で、大学を出てから50歳の年を重ねてもなお、働かない男性がいる。この場合は、職につかないと言ったほうがいいだろうか。よくしたものでそんな息子がいると、そんなのに限って毎月生活費を渡す母親がついていたりするし、パートでせっせと家計を助ける妻がついていたりもする。

 だから、その男性はずっと働かないまま結婚生活を続け、子供も持った。見かねた男性の兄弟は、なにかと仕事をまかせてみたり、店を持たせたりと関与してきたが、そもそも働く意欲のない人間がどれも続くはずもなかった。

 という事情はあくまでその男性の周りの人間の言い分だ。本人はまったく異なる事実認識を持っている。

「俺はずっと家族の犠牲になってきた。好きな仕事もできず、兄弟の仕事をずっと手伝わされ、あげくのはてに、老親の面倒まで診させられることになった」と主張する。

 しかし、ここで他人の私に突っ込ませていただくと、その男性のいう“好きな仕事”だが、彼がそこにむけてなんらかの行動を起こしたのを私は見たことがない。“老親と同居”というがそれは家賃を払う甲斐性がないので親が建てた家に長年タダで住んでいるだけで、老親の面倒は他の家族がせっせとみているのを私は知っている。

 私から見ると、親と妻からもらったお金でずっと楽に生きている50歳男にしか映らないのだが、本人の認識では最大の被害者になるわけだから、なにが事実かは判断しようもない。

 これは、意外なことに、引きこもって家で暴れるいまどきの少年にも当てはまる。

 私の親戚の甥だ。彼の家族の認識では「母親がパートで稼ぎながらせっかくいい私立学校に入れたのに、勉強についていけずやめてしまった。今では母親のパート代を奪うために暴力を振るい、その金は遊興費に散財している」というものだ。

 だがこれもまた、本人の言い分はまったく違う。「親の理想を叶える道具として育てられた。行きたくもない学校に行かされ、人生を踏み誤った。すべて親のせいだ。これからは好きに生きる」というものだ。

 これも私から突っ込ませていただくと、“好きに生きる”ことが何故人の金をあてにすることになるのか。好きに生きると言いながら、「朝が起きれない」といって仕事をせず、家から自立もしないなら、これまた、親に金もらって50歳になるケースと近似している。

 いずれのケースも、周りの言い分と、本人の認識と、どちらが正しいかは他人からは判断しようもない。おそらく両者の事実認識もまた生涯噛み合うことはないだろう。

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