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【わかるかも中国人】(16)
中国的「格差社会」の実像
ニューリッチから出稼ぎ労働者までのお宅訪問

  • 中村 正人

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2007年1月16日(火)

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 俗にいう「沿海都市はヨーロッパ、内陸部はアフリカ」の例えどおり、都市と農村の二重構造による地域格差の大きい中国。所得水準で見ると、「4つの世界」に大別できると言われる。

 まず、「第1の世界」が購買力平価による所得水準が先進国に近い上海や北京、深セン、「第2」が世界の国別平均を上回る水準に達した華南地域の広東省や上海に隣接する江蘇・浙江省など、「第3」が発展途上国の段階にとどまる内陸の省、そして「第4」がチベットや貴州省などの最貧困地域である。

先進国と最貧国が同居する都市、上海

 一国の中に先進国と途上国が存在する極端な不均衡。だが、こうした現象は先進国に限りなく近いはずの上海の中でも当たり前に見られる。農村部から出稼ぎでやってくる「農民工」と呼ばれる数百万人の貧困層がいるためだ。彼らは都市の統計には含まれず、基本的に公共サービスも享受できない外国人労働者のような存在だ。

 そんな上海における中国的「格差社会」の実像をわかりやすく見せてくれたのが、2004年12月、セイコーエプソンの画廊「epSITE Shanghai(参照:当連載14回「スーパー80年代生まれ」の肖像)」で開かれた「上海人家(Shanghainese in Apartments)」と題す写真展だった。

 ビジネス成功者や海外出戻り組といったニューリッチから貧しい出稼ぎ労働者までのあらゆる階層、出身地も国籍も異なる「上海人」たちのお宅訪問の記録である。作品の一部から、同じ都市に暮らしながら交わることのない「4つの世界」の住人たちの興味深い生態を覗いてみたい。

上海人(写真左)の職業は会社員だが、台湾人(写真正面)は無職とある。資産家の台湾人のマンションに友人の上海人がシェアしているようだ  (c)Hu Yang
上海人(写真左)の職業は会社員だが、台湾人(写真正面)は無職とある。資産家の台湾人のマンションに友人の上海人がシェアしているようだ  (c)Hu Yang

 「第1の世界」にあたるのは、しゃれたインテリアに囲まれ、ソファの上でパソコンをひざに置く台湾人と上海人の若い女性ふたりがシェアする絵に描いたようなニューリッチの部屋。そこにはまったく生活の匂いがない。壁に架けられたモダンアートや何気なくテーブルに置かれた携帯電話といった小道具からも、今風上海プチブルのセンスや情緒が見て取れる。

 場所はおそらく、市中心部の再開発地区に建てられた新築マンションの一室だろう。上海ではマンションを購入する場合、日本と違って一般住居でも内装は未仕上げのまま渡され、購入者自身が設計するのが一般的で、玄関までは同じでも中は住人それぞれの趣味が大胆に表現されるのが常だ。

室内の知的な雰囲気からして、この老夫婦は教育関係者だったに違いない(上海出身)  (c)Hu Yang
室内の知的な雰囲気からして、この老夫婦は教育関係者だったに違いない(上海出身)  (c)Hu Yang

 「第2の世界」は、いわゆる中流階層。年金生活者となった夫婦の部屋だ。落ち着いた調度品と整理された書棚に囲まれた老インテリの静かな生活がうかがえる。ふたりはいう。「私たちは中流の人生を送ってきた。いまは何の憂いもありません」。余生は大好きなピアノを弾いて過ごすという。

 場所はおそらく、旧フランス租界あたりの古い洋館の一室ではないだろうか。とはいえ、丸ごと一軒が住居ではなく、数世帯が部屋別にシェアしているような住まい方だと思われる。もっと資産があるか、子供が海外帰りかビジネス成功者であれば、郊外のマンションを購入してもらって移るところだろう。それが上海の中流階層の老世代のごく一般的な住環境である。

 ここまでは上海出身者の場合。ここからは地方出身者だ。

「お金をもっと稼ぎたい。私たちの望みは子供を上海の大学に入れること」(江蘇省出身)  (c)Hu Yang
「お金をもっと稼ぎたい。私たちの望みは子供を上海の大学に入れること」(江蘇省出身)  (c)Hu Yang

 発展途上国の水準にあたる「第3の世界」は、赤ん坊をひざに抱えた江蘇省出身の屋台行商人の夫婦の暮らしぶりに象徴される。室内には調理台ともうひとりの娘が寝転ぶ寝台と棚がひとつきり。雑然と並ぶわずかな家財道具の手前には炊飯釜とまな板、放り出されたままの包丁。調理の最中に声をかけられ、「記念撮影」されたのか。あけすけな生活実感の中で主人が見せる穏やかな微笑が印象的だ。

 ニューリッチの部屋の写真と比べたなら、本当に同じ上海なのだろうかと思わせるが、場所はおそらく市内の再開発地区周辺に飛び地のように残された古い共同住宅(いまはかろうじて取り壊されることを免れている)の一室だと想像できる。地方からの出稼ぎ労働者の住処はほぼこうした下町地区に限られるからだ。

 そして、「第4の世界」が現れているのが、四川省出身の農民工が同郷の男たちと共同で寝泊りに使う部屋だ。

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