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【わかるかも中国人】(17)
写真で見る「格差」不感症大国、中国

  • 中村 正人

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2007年1月22日(月)

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 前回、中国における「4つの世界」を象徴する「上海人」たちのお宅訪問を通して、中国的「格差社会」の実像を垣間見た。これがわずか二十数年間で起こった格差であることには、今さらながら驚かされるが、外国人として中国を訪れる筆者がどうしても気になるのが、出稼ぎ労働者である「農民工」たちの存在だ。

 上海に一度でも行ったことがある方であれば、彼らが街でごく普通に見かける存在であることはお分かりだろう。たとえば、プラタナス並木が美しい旧フランス租界の目抜き通り、淮海路。上海モダンの風情が色濃く残るこの通りには、先進国の都市と変わらないニューリッチたちが闊歩している。が、同時に農夫然とした「農民工」たちも何食わぬ顔をして往来している。

同時代とは思えない光景が重なる街

 「都市の多重性」と言えばそれまでだが、とても同時代を生きている人間とは思えない異質な人々が華やかなブランドショップ通りを行き交う光景。もしココが東京の表参道だとしたら…。そう思うと不思議な気がする。

 上海に実在する「農民工」の姿をじっと見つめてきた3人の外国人による写真展があった。2005年9~10月に上海で開かれた「作為上海(Becoming Shanghai---Three Memories of a City’s Transformation)」。会場は前回の『上海人家』と同じ、上海の新しいアートシーンを意欲的に紹介しているセイコーエプソンの画廊「epSITE Shanghai」である。

 カナダ人のグレッグ・ジラード(Greg Girard)、アメリカ人のフリッツ・ホフマン(Fritz Hoffmann)ほか、作風も世代も異なる上海在住の写真家の作品展だ。急速に変わりゆく上海の変化は、欧米人の目にどう映っていたのか。彼らの作品を題材に、中国的「格差社会」の一端と、それをめぐって中国人と我々の間にどんな認識ギャップやすれ違いが起こり得るのか、考えてみたい。

空が紫に染まる夕暮れどきに撮られた「上海視野(Shanghai View #2 )2003」 (C)epSITE Shanghai
空が紫に染まる夕暮れどきに撮られた「上海視野(Shanghai View #2 )2003」 (C)epSITE Shanghai

 無残にも取り壊された上海の古い屋根裏部屋付きの西洋風住宅の解体現場。空襲によって廃土と化した1945年の東京を連想してしまうようなモノクロ世界の後方には、煌々と明かりを発するモダンな高層ビルが蜃気楼のように林立している。廃墟と摩天楼が隣り合う対照的な光景を同時に望めるのは市内中心部の再開発地区。1990年代以降の上海ではそこかしこで日常的に見られるものだ。

 『上海視野(Shanghai View #2)2003』と題されたこの作品は、2003年のある日、解体後の瓦礫の山がどこかに運び去られ、新しいビルの建築現場に変わるまでのわずかな数週間に出現した、いまはなき幻の風景の記録。すでに同じ場所はオフィスビルと公園に生まれ変わっている。

 そこに感傷や郷愁はいささかも感じられない。上海に暮らす人々の多くがすでに過去のものとして葬り去ろうとしている「前世紀」の生活。それが消失する「決定的瞬間」をとらえたのは、カナダ人のグレッグ・ジラードである。

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