「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」

「できる女」という公害

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2007年1月26日(金)

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 世の中にはやたらやる気のある女というのがいる。24時間パワフルでテンションが高く、いつも気ぜわしくバタバタしながらも向上心や好奇心が強い。それが往々にして“できる女”と標榜されがちだ。私はそこに待ったをかけたい。

 昔からの知人で、ライバル心を隠さないキャリアウーマンがいる。「今どんな本読んだらいいか教えて」と知識欲も強い。「なに?それどこのファンデーション?」と美への競争心もある。

 「今、渋谷で2時間空いてるんだけどランチしに出てこない?」と自分の時間だけは有効に使おうとする。私が仕事を理由に断ろうものなら、「なんの仕事?どんな雑誌?いつ?誰と出るの?」と相手の仕事が気になって仕方がない。

 そうこうしているうちにも「元気?私は今、出張でパリです」とかいうメールが飛び込んできたりもする。

 私はそんなとき、深いため息をつく。

 私からすれば、今読むべき本は、日常、本に興味があってその延長線上に出会えるもので、その行程をすっ飛ばしてなにがその人にとっての読むべき本かは語れない。化粧も同様、何が自分に合うかは日々の実践でもって検証していくしかない。

 競争心があることと、だからといって日々努力をしているかどうかはまったく別物だ。自慢げに人生と仕事を謳歌していることを匂わせるメールにいちいち「すっごーい」とリアクションするのも疲れる。

 そこに、“できる女”のヨロイだけを身にまといたい女の焦りのようなものを私は感じる。なぜいつも“できる女”を主張せずにはいられないのか。

 以前、団体ツアーで海外に行ったことがある。

 「一流商社のキャリアウーマンで一流企業に勤める夫と有名校に通う子供もいながらにして1人で参加した」と自ら言う女性がいた。お約束どおり、パワフルでテンションが高い。たかだか30人くらいの団体の中で自らを誇示し派閥を作ろうと躍起に画策する姿を見て、また、私はため息をついた。

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著者プロフィール

遙 洋子(はるか・ようこ)

遙 洋子

大阪府出身。タレント・エッセイスト。関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、その体験を綴った著書『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(ちくま文庫)を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。近著に『主婦たちのオーレ!』(筑摩書房)、『女ともだち』(法研)など。公式ウェブサイトはこちら



このコラムについて

遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」

時事問題を独自の視点で切り込むタレントでエッセイストの遙洋子氏が、男と女が食い違うワケをユニークな視点で解説していく。

【編集部から】
2010年4月から、遙洋子さんの新コラム「遙なるコンシェルジュ『男の悩み 女の嘆き』」が始まりました。こちらもご覧ください。

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