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【わかるかも中国人】(19)
超格差社会のキーは60年代生まれにあり
~天安門事件の挫折はどこに消えたのか?

  • 中村 正人

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2007年2月5日(月)

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 前回、中国の「お金持ちビジネス」の内情を聞いた。今日の中国的「格差社会」は、その成立の背景や内実が日本とは異なっている。それぞれの階層に属する当事者に話を聞いてみないことには全体像がつかめないと思ったからだ。

 実際、当事者にはそれぞれの事情があった。成功者の多くは、常に時代の先を見越して抜かりなく次の手を打っていた。それが4年連続国内総生産(GDP)10%成長という伸び盛りの時代を生きる人たちのやり方なのだろう。あちらの社会はこちらと違って、伸びシロやスキ間がいくらでもあると、誰もが信じられる時代なのだから。

巨大な高層マンションのすぐ足下には地方労働者が暮らす街区がある
巨大な高層マンションのすぐ足元には地方労働者が暮らす街区がある

 それにしても、なぜ中国はこれほど超「格差社会」になってしまったのだろうか。

 いろんな理由が考えられるが、ひとつの仮説を立ててみたい。カギは1960年代生まれにあるのではないか。

 何も特定の世代や個人を糾弾しようというのではない。「世代」の問題に立ち返ることで、社会が大きく変質した意味とその背景を時間軸でたどってみたいのだ。

 1960年代生まれの中国人。それは「改革開放世代」である。彼らが青年期を迎えた頃、すでに中国は改革開放時代(1979年~)になっていた。年長の世代のように文革期に地方の農村へ「下放」されることを免れた人たちである。

 これまで文革をまったく知らない「新人類」=70年代生まれ(15回)や、世界に台頭する中国を体現するスーパー80年代生まれ(14回)など、中国社会に生まれた新世代の位置づけについて考えた。だが、結局のところ、文革期に疲弊した中国社会をいまの活力あふれる姿に大きく変える決定的な役割を果たしたのは、改革開放という開国の時代を自分の人生に戸惑いなく重ね合わせることのできた最初の世代といえる、「改革開放世代」=60年代生まれだ。いわば「トウ小平の申し子」となった彼らに焦点を当てることこそが、いまの中国を理解するカギではないかと思う。

 本稿では、ある60年代生まれの上海人の半生を、改革開放の歩みと並べてみたい。その人は、当連載3回で登場した周鉄海(Zhou Tiehai)氏。昨年3月、上海美術館で「AN OTHER HISTORY」と題する個展を開いた、海外で最も知られる中国現代アーティストのひとりである。

 彼を取り上げたひとつの理由は、文革の始まった1966年に生まれていることだ。繰り返すが、中国では芸術家もまた企業家である。さまざまな時代の制約の中で人生を切り開いてきたという意味では、中国の新興企業家と変わらない。

 以下、中国社会の変遷が「改革開放世代」である彼の時代認識や自己形成にどのような影響を与えたのか、想像力を働かせてみてほしい。ポイントは中国現代史における価値の転換点といえる1966年、1979年、1989年、1992年、2001年だろうか。

◎ 周鉄海と中国「改革開放」のあゆみ
1966 誕生   「文化大革命(文革)」始まる
1977 11歳   文革終わる
1979 13歳   「改革開放時代」始まる
1983 17歳 上海大学美術学院入学  
1984 18歳 初の個展開く 上海市経済特区になる
1987 21歳 上海大学卒業 上海人出国ラッシュ
1989 23歳 創作活動をやめる 天安門事件、中国の外交的孤立
1990 24歳 テレビ制作会社に入社  
1992 26歳   トウ小平「南巡講話」、浦東開発スタート
1995 29歳 創作再開 「中国社会が新しい段階に入った」といわれる
1996 30歳   第1回上海ビエンナーレ開催
1997 31歳 東京・資生堂ギャラリーで海外デビュー 香港返還
1998 32歳 中国現代アート賞受賞 朱鎔基総理就任、3大改革(行政、金融、国有企業)
2000 34歳 東京・原美術館で「媚薬・スイス」展開催 第3回上海ビエンナーレ開催(中国初の国際美術展)
2001 35歳 以後、国内外で個展やグループ展を多数開催 北京オリンピック開催決定、WTO加盟

 こうしてみると、彼の40年の人生の中には、幾度となく価値観を大きく揺さぶられるような時代の転換点が訪れていたことにあらためて驚かされる。

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