藤田さんにとっての恩人は、まず、独立したときの資金援助をしてくれた、現USEN社長の宇野康秀さんである。そして、独立後、サイバーエージェント初の自社商品である、クリック保証型のインターネット広告サービス「サイバークリック」のシステムを開発した、当時オン・ザ・エッヂの堀江貴文さんであり、さらに、さまざまな面で支援をしてくれた、楽天の三木谷浩史さんであろうことは、容易に想像がつく。
だが、藤田さんの胸の底には、いまだに熱い恩義とともに、生涯拭うことのできない痛みを感じる人物がいる。痛みというのは、その人に対する裏切りである。
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藤田さんは、学生時代にアルバイトをしていた「オックスプランニングセンター(現オックスプランニング)」で、『ビジョナリーカンパニー』(日経BP社)という本に出会うと同時に、ある人と幸運な出会いを果たした。彼の自著『渋谷ではたらく社長の告白』(アメーバブックス)の中で、こう書かれている人物である。
「私はバイトでありながら経営的な視点を持って仕事をし、会社に接していました。それができた理由はオックスプラニングセンターの創業メンバーである渡辺義孝専務に、人一倍目をかけていただいたからでした」
入社後、渡辺さんとは、映画にいったり旅行にいったり、プライベートなつきあいもするようになった。この間に、藤田さんは渡辺さんの言葉の中から、将来忘れ得ぬ感動を得ている。それは知名度のない会社が、どんな実績があるのか、と営業先の会社から訊かれたら、どう答えるかと渡辺さんが藤田さんに話す場面である。
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「ハッタリでもいいから、とりあえず実績を口に出して言ってしまって、次に会うときまで本当に実績を作ればいいんだ」 (中略) 実績を馬鹿正直に言っていたら、実績自体が作れない。苦しいベンチャー企業が、ゼロから何かを生み出すことができる理由を知った瞬間でした。 (中略)
「おれは営業時代『渡辺くんは口下手だから信頼できる』と言われて受注をもらったんだ。うまく話そうと思うな。自分の言葉でしっかりと考えていることを伝えろ。自然体でいろ。それが自分と商品に対する自信の裏返しなんだ」 (『渋谷ではたらく社長の告白』より) |
このとき渡辺さんから助言されたことを、独立後の藤田さんは、さっそく実行に移している。それは「ウェブマネー」というプリペイドカードによる決済システムの販売代行を始めたときのことである。
インターネットに詳しくない営業マンである彼らは、雇い主から「これがCGIの組み込みマニュアルだから、(お客さんに)聞かれたらこれで対応して」といわれて営業初日を迎える。
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