「茂木健一郎の「超一流の仕事脳」」

茂木健一郎の「超一流の仕事脳」

2007年2月21日(水)

「弱さ」が持っている「強さ」がある

〜専門看護師・北村愛子〜

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 周りが「助けてあげたくなる」人がいる。

 考えてみれば、スーパーマンなんていない。だから、ひとりで全部できる必要はないわけで、むしろ自分ができないことは「できない」と、はっきり周りに見せた方が助けが得られる。「弱い」ことは「強い」ことというのが、今回のクリティカルケアの専門看護師・北村愛子さんとのお話で、一番印象に残ったことだ。

 プロフェッショナルが専門職だとすると、自分ができることの限界を知るということが、プロになるための、非常に大事なステップだ。そして、その欠点を隠してしまうのではなく、わざと人に見せるようにすると、「あいつはあんなに困っているから助けてやろう」という人が出てくる。

 カリスマ的リーダーのあり方としても、1つ、そういう解があることを示唆された。一所懸命に生きていて、しかもこれが欠けているとはっきり外から分かることがあると、それを補ってあげようと人が集まってくる。

 目指している方向は説得力があり、それに真摯に向き合っていて、しかも弱点だらけの人は、人を引き付ける。

 ある人のもとへ人が集まってくる理由には、もちろん長所もあるが「あんなところが抜けている」と周りが感じて集まるようなところがある。そのために必要なのは、北村さんが言っていた「まじめさ」ということだ。普段から「ちゃらんぽらんな」人には、あまり助けに行きたくない。北村さんの話を伺っていると、この人にはそういう「人徳」みたいなものがあると感じた。

 オレは全部自分でできるんだというような格好をしていると、欠けていることが周りに見えずに、人の助けも得られない。だから、自分の欠落を外から分かるようにするというのは、意外と大事なことかもしれない。弱点だから、隠そうとするのではなく、オレにはこんなに穴があると。

 「弱さ」は「強さ」に変わる。常にではないけれど、そうする方法がある。

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迷わず走れ、そして飛び込め
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 今、看護師の世界が大きく変わりつつある。専門性の高い知識・技術を身につけた「専門看護師」という制度が動き出した。問われる医療不信の中で、患者と医療者側が信頼関係を築き、治療の可能性が広がる期待が込められている。

 専門看護師は、ガンや感染など9つの分野に分かれる。その中でも、特に命を脅かすような危機的な状態の患者と向き合うのが、「クリティカルケア看護」専門看護師だ。その第1号の一人として認定を受け、全国の医療現場から注目を集めるのが、大阪府りんくう総合医療センター市立泉佐野病院の北村愛子(43)。

 北村の、過酷で猛烈な日々に密着し、新しい看護師のあり方や変わる医療現場を見つめる。


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著者プロフィール

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)

茂木 健一郎

1962年、東京都生まれ。東京大学大学院卒業。「クオリア(感覚質)」を手がかりに、脳と心の謎に挑む新進気鋭の脳科学者。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。


このコラムについて

茂木健一郎の「超一流の仕事脳」

毎回、1つの分野で超一流の仕事をしている人物を追うNHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」。キャスターを務める脳科学者の茂木健一郎氏が、番組を通じてその人物から受けた刺激をさらに深く考察して語るコラム。

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