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III:経営者の鬼門は「ファッション・女性・PR」

  • 伊藤 美恵

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2007年3月16日(金)

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第2回から読む

 前回お話ししたように、アタッシェ・ドゥ・プレスにもっとも理解あるとされるファッション業界でさえ、マスコミに洋服を貸し出すことが仕事、という誤解がまかり通る、そんな状況です。ましてや一般の企業においては、本当に残念なことではありますが、「アタッシェ・ドゥ・プレス」への理解や評価はとても低い、と言わざるを得ないでしょう。

 こんなことがありました。

 とあるコンサルティングの会社が主宰する勉強会。誰もが知っている有名企業のトップたちばかりが集まる会。そこで私に講義をしてほしいという依頼が入ったのです。

「招かれざる客」だった私

 事前の説明では、その会は全体を2部に分け、前半は固い内容の勉強会で、後半は食事を取りながらの懇親会のようなムードで、ときには落語家を呼んで一席うかがうといったやわらかい調子の会合とのこと。「広報の仕事を中心に、あとは伊藤さんのお好きな内容で結構です」という先方の担当者の言葉に、それならばと参加させていただいた私でした。

エファップ・ジャポン 学長 ワグ 代表取締役社長 伊藤美恵氏 (写真:峯村 隆三)

エファップ・ジャポン 学長 ワグ 代表取締役社長 伊藤美恵氏 (写真:峯村 隆三)

 しかし、壇上に立った瞬間、私は「招かれざる客」であることに気づきました。第1部ではコンサルティング会社の話に真剣に耳を傾けていた“一流”企業の“一流”経営者のお歴々が、私が登場したときには半分よそを向くわ、足を組んで椅子にふんぞり返るわで、まともに話を聞こうという姿勢をまったく見せなかったのです。投げ掛けられるのは、「女のキミが、いったい何しに来たの?」と言わんばかりの視線です。

 しかも「お話の内容はお任せ」であったはずが、会場に着いてみると「自己ブランディングの方法」というテーマが勝手に決められている。さらに、この日第1部が押して、予定の時間を大幅にオーバーし「早めにパパッとやってください」と言ってきた主宰者。もう、始める前からめげるようなシチュエーションです。

 しかも私を紹介する司会者は「本日は伊藤美恵さんにアタッシェ・ドゥ・プレスの…」と言いたいところを「アタ、アタ、アタシェ、ア、アタシェド…」とつかえてしまい、まともに言うこともできない。仕方がないから自己紹介から始めて、PRの重要性、それが2003年に開校したアタッシェ・ドゥ・プレスの専門校、エファップ・ジャポンの設立につながったことなどの説明に、予定の時間の大半を費やすことになってしまいました。

 まったくの不完全燃焼です。自己ブランディングについてなんて、もともと用意もしていなかったわけですから、そのテーマに触れることもできませんでした。それでも一応の話のまとまりをつけて、続いて質疑応答の時間です。ここで老舗有名ホテルの社長からの質問がありました。

「雇えば、かっこよく見せてくれるんでしょう?」

「うちのホテル、古いって言われてるんですよ。あなたの学校の生徒を使うと、それを新しくかっこよくPRしてくれるんですか?」

 ちなみに、完全に小馬鹿にした口調でこうおっしゃるわけです。

「やってくれるんでしょ? おたくの学生が卒業すれば」「そういう人をうち(の会社)に回してくれるんでしょ」

(ああ、これはダメだ)
 心の中で私はため息をつきました。

 PRの仕事の意義をこんなふうに低くみなしている時点で、この方は“経営者失格”です。

 というのも、この方は自分がホテルという誰もが消費し得るサービス業のトップであり、こうした場で話すときは、彼自身が自動的にそのホテルのアタッシェ・ドゥ・プレスと周囲からみなされる、という自覚がまったくないからです。

 この会場を離れれば、たとえば私自身が公的にも私的にも彼の経営するホテルの利用者、すなわち顧客となり得るのです。その私に対し、こうした対応をすることがどれだけ自分のホテルのブランドにマイナスに働くのか、そんなことも分からない人がホテルというサービス業のトップなのか、と本当に情けなくなりました。

 後日、知り合いのジャーナリストに事の顛末を話すと、彼はこう言いました。

トップがアタッシェ・ドゥ・プレスを理解しない悲劇

「それは伊藤さん、行った場所が悪いよ」

 つまりはこういうことらしいのです。こうしたお年を召した“一流”経営者の方々がもっとも苦手とするみっつの要素がある、と。
 ひとつはファッション。
 ふたつめが女性。
 そして最後がPR。

 私、伊藤はそのみっつとも仕事で体現している。そんな人たちの前に呼ばれていったら、心証が悪いのは当然、というわけでした。

コメント4件コメント/レビュー

面白いです。自分自身がPR。筆者の笑顔を見習い、今後も楽しみにしています。(2007/03/17)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

面白いです。自分自身がPR。筆者の笑顔を見習い、今後も楽しみにしています。(2007/03/17)

非常に興味深い。今後の記事を楽しみにしている。ただ1つだけ、「行った場所が悪かった」とのことだが、「アタッシェ・ドゥ・プレス」の達人であっても、場所が悪ければ、他でもない「アタッシェ・ドゥ・プレス」そのもののアタッシェ・ドゥ・プレスに失敗してしまうものなのであろうか。それとも、そんなに手間のかかる市場は無視すればよい、のであろうか? 私は個人的には、そのような相手に対してこそ、情熱の炎を燃え上がらせてしまうのだが。(2007/03/16)

前にTVで拝見したことがありますが、この連載でまた改めてアタッシェ・ドゥ・プレスの魅力を感じました。すごく興味のある分野だし、どんな職業の人でも、どんな立場の人でも必要なことだと本当にそう思います。私ももっとPRを変えるだけで違うということを勉強したいと思います!(2007/03/16)

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