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IV:通販最大手「ニッセン」のブランド戦略

  • 伊藤 美恵

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2007年3月23日(金)

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 私は「マーク ジェイコブス コレクション」「ヴィヴィアン・ウエストウッド」など、ファッションに興味のある方ならばご存じの名前のブランドの、「アタッシェ・ドゥ・プレス」をお引き受けしていますが、最近、新しいお仕事先が増えました。

 ファッションの仕事に携わって、私自身、まもなく43年になろうとしています。その中でも、私のファッション人生で培ったすべてを注いで取り組んでいる仕事のひとつになります。

 そのお相手は、京都に本拠を置く通販業界最大手の会社、ニッセン8248です。

女性のふたりにひとりが手にするカタログ

エファップ・ジャポン 学長 ワグ 代表取締役社長 伊藤美恵氏 (写真:峯村 隆三)

エファップ・ジャポン 学長 ワグ 代表取締役社長 伊藤美恵氏 (写真:峯村 隆三)

 書店のレジ周辺や店先に並んでいるニッセンの無料のカタログ、誰しも一度はご覧になったことがあるでしょう。1年間に発行されるその数、なんとメインカタログだけで4500万部ほど。その他の媒体も含めて通販ビジネスの年商は約1300億円。とてつもない巨大市場を通販業界は作り上げています。

 しかも、この数字はまだまだ成長の余地があるのです。メインカタログのワンシーズンの発行部数が約1000万部、手にするのがほとんど女性として、単純計算でも女性の2~3人にひとりはそれを手にしていることになります。ここまで日本の家庭に行き渡っているメディアはほかにありません。雑誌はもちろん全国新聞より部数が多いのですから。そう考えると、年商1300億円もまだまだ通過点で、消費者に対するアピールの仕方によっては、さらなる可能性が開けている、と感じます。

 興味深いことに、通販業界は、他の活字媒体に広告を打つことはほとんどありません。自社でワンシーズン1000万部単位のメインカタログという媒体を持っているわけですから、今さら数万~数十万部の雑誌に広告を打つ必要がないという判断もあるでしょう。遠い昔、まだ通販というものの信頼度が低かった時代に、掲載する雑誌側がトラブルが起きたときの責任回避の意味から広告を載せることに二の足を踏んだということもあるようです。

 そんな中、ニッセンは、創業以来、徹底したサービスと真摯な企業姿勢を持って、まさにそういった壁をひとつひとつ乗り越えて、現在の巨大な企業に成長したわけです。けれども、あまりに巨大になってしまったがゆえに、ニッセンというブランドは、「ファッション」の道筋からは距離を置いた印象を与えるようになってきました。

「旬のファッション」をニッセンに

 消費者が、「旬のファッション」をニッセンのカタログから感じることは難しくなっているのです。もちろん、これはあくまで感覚的な問題で、ニッセンの商品は、実際には流行の要素もちゃんと取り入れているし、若者がカワイイと思える商品もいくつもあります。

 でも、たとえばファッション誌がニッセンの商品を取り上げることがあるかといえば、これまではまず考えられませんでした。

 優良企業は、常に自己改革の目を持っています。ニッセンもまさにそう。私に、「巨大になりすぎてややぼやけてしまっているニッセンのイメージを広告及びPRの力で一新してください」と声をかけていただいたのも、そんな経営思想を同社が持っていたから、と私は解釈しています。

 大手企業のブランド再生、すなわち、ブランド戦略のお手伝いこそ、私たちにとってもっともやりがいのある仕事です。

 では、どこから手をつけようか。

 私は、まず得意のファッション分野からイメージを変え、ニッセンのブランドに若々しさを注ぎ込もうと考えました。

 ニッセンの網羅する商品は、インテリアからファッション(レディース・メンズ・下着・子供服)、美容等々、大変に広範囲です。

 が、ニッセンのカタログで商品を注文するのは基本的に女性です。女性がいちばん買い物で興味があるのは、やはりファッション。そこでファッションに的を絞って、これをブラッシュアップすることで、ニッセンのブランド全体の価値を向上させようというアイデアでした。

 けれども、こういった考えがすぐに先方のスタッフの方々に受け入れられたわけではありません。「自分たちとスクラムを組んで、勝負に挑む援軍が来たぞ」というふうにとらえた人は、ほとんどいらっしゃらなかったと思います。

最初はどうしても「半身の構え」に

 むしろ、「今まで、自分たちでちゃんとやってきたのに、邪魔者が来た」と思われたのではないでしょうか。そしてここが、大企業のブランド戦略のお手伝いを外部から行う際の難しいところです。

 その会社を愛し、深くかかわっている社員であれば、会社の将来というものを見据え、現状に甘んじていてはいけないということは、容易に推察できるはずです。

 ところが一方で、そんな優秀で愛社精神あふれる社員であればあるほど、私のような外様に対しては警戒心と言いますか敵愾心と言いますか、とにかく最初は強力なバリアを張って接します。初めて会ったとき、正面を見て話そうとしない人も多く見られます。半身の構えです。

コメント1件コメント/レビュー

今回のトピックは興味深かったです。「ニッセン」というと、無料配布、ちょっとAnti-Trandという、感覚がありました。ただ、こういった「ファッション」は、地方の人や「都会」から隔離された方々には、貴重な情報資料なのではないか、と推測されます。(最近のファッションは都市集中型過ぎるような気がします。)そういった意味で、今回は大変勉強になりましたし、今まで自分が「展示会」を通して得たものが、決して間違ってはいなかったと確信できました。(地方の方々は、特に女性は、着たい物がなかなか手に入らない、ということです。)(2007/03/23)

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今回のトピックは興味深かったです。「ニッセン」というと、無料配布、ちょっとAnti-Trandという、感覚がありました。ただ、こういった「ファッション」は、地方の人や「都会」から隔離された方々には、貴重な情報資料なのではないか、と推測されます。(最近のファッションは都市集中型過ぎるような気がします。)そういった意味で、今回は大変勉強になりましたし、今まで自分が「展示会」を通して得たものが、決して間違ってはいなかったと確信できました。(地方の方々は、特に女性は、着たい物がなかなか手に入らない、ということです。)(2007/03/23)

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