「白河桃子の「“キャリモテ”の時代」」

【第11回】自分ブランドを確保せよ

負け犬世代の敗因は「分かりにくかった」こと

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2007年4月13日(金)

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 友人M(38歳)は、外資系証券業界でキャリアを築く女性。債券の敏腕セールスで、合併、リストラの激しい外資系金融業界で、何回も転職しながらサバイバルしている。美形だし、年齢を言うと「信じられない」と驚かれるほど、若く見える。おしゃれで、スポーツもできて、タフで優しくて“正義漢”。ある転職の際は、納得できないことをムリに命令する上司にキレて、タンカをきって(もちろん英語で)辞めたという逸話もある。

 そんな彼女が私に嘆いてきた。「私、債券は売れるのに、どうして自分を上手に売れないんでしょうか?」

 確かにその通り。負け犬世代のキャリア女性は、仕事は有能な人ばかり。しかしその有能さが、恋愛に際しては歯がゆいほど発揮されないのだ。債券も自社の商品もいくらでも営業できる。プレゼンを勝ち取るのも得意である。しかし、「自分」という商品だけは売れないのだ。

「分かりにくい商品」は売れないという法則

 長年の知り合いなので、Mの恋愛話も知っている。大抵は、Mがサバサバした性格のため、男と恋愛関係に至る前に友達になってしまうというパターンが多い。確かに彼女のことは、男っぽいさっぱりしたヤツと思っている人が多いと思う。しかし本来の彼女は、実はかなり“乙女”なのである。彼女が一人暮らしを始める時に「引っ越し祝いは何がいい?」と聞いたら、「天使のついたもの」と言われて、驚いたことがある。

 持っているバッグはバーキンで、スタイリッシュなヨーロッパブランドでキメている彼女が「天使」とは? その後Mの部屋に行って分かったのだが、彼女はその頃「天使グッズ」にはまっていて、シャンデリアからは天使が下がり、壁の時計では天使が微笑み、トイレでは天使が手招き…、というメルヘンな部屋に住んでいた。「有能なキャリア女性」と「天使好き」というミスマッチ。長年の知り合いである私にとっても、十分意外だったのだ。

 男がこの部屋に来たら、どう思うであろう…? 残念ながら彼女は、その部屋に男を連れ込む暇もなく、実家の2世代住宅に引っ越してしまったので、この疑問に対する答えは分からない。しかし、彼女の普段のテイストからすると、六本木ヒルズのグランドハイアットのような、クールでモダンな部屋に住んでいそうな感じなのである。Mの本当の趣味を知った時、男はそのミスマッチに驚くと思う。それが、「ギャップ効果」として彼の恋心に火をつけるか、はたまた逆にドン引きされるか…。これは微妙なところだ。

 似たような例が、もう1つある。女性初の海外特派員として海外に派遣されたこともあるジャーナリストのTさん(38歳)。事があれば、直ちに紛争中の現地に飛び、泥の中やジャングルの中だってへっちゃら。本人もそういうキャラだと思っていたのに、海外の彼女のマンションに遊びに行った時は、驚いた。部屋は美しい英国調で、壁紙とカーテンとクッションは細かい花柄で統一され、とても「お姫様チック」な部屋なのだ。すべてローラ・アシュレイの製品だという。

 賃貸マンションなのに、よくもここまで好みの部屋を見つけたものだ…と思っていたら、白い壁を飾る花柄のボーダーは「自分で張ったの」。花柄のお部屋で、丁寧にいれた本格的な英国のお茶で接待してくれた。まめで家庭的で、姫キャラで、実は虫を1匹見ただけで、キャーッと驚いてしまうTさん。しかし仕事となれば、マラリアにかかりそうな場所にだって、率先して行ってしまう。

 この2人の女性の共通点は、「外見や仕事上の性格と、本当の趣味や好みとが食い違いすぎて、分かりにくい」ということだ。そう、負け犬世代のキャリア女性は「分かりにくい」人が多い。時に、「仕事はバリバリで中味は乙女」というパターンが圧倒的多数。そして、「分かりにくい商品は、売りにくい」というのは、営業経験のある人なら誰もが知っていることだ。

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著者プロフィール

白河桃子(しらかわ とうこ)

白河桃子

1961年東京生まれ、慶應義塾大学文学部卒業。結婚、少子化など女性のライフスタイルに関する取材を数多く手掛る。著書に『「キャリモテ」の時代』(日本経済新聞出版社)、『跡取り娘の経営学』(日経BP出版センター)、『「婚活」時代』(ディスカヴァー・トゥエンティワン )など。



このコラムについて

白河桃子の「“キャリモテ”の時代」

 未婚率の上昇と少子化が問題視される昨今、キャリアを積んだ女性たちが「モテ」て、幸福な結婚をするにはどうしたらいいか。このコラムでは、結婚に対する男女の意識を読み解いていく。 女性リーダーのための記事は「NBonline Women at Work」へ。

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