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自分にはチャンスが来ないと思ったとき

  • 遥 洋子

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2007年4月27日(金)

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 宝塚歌劇公演直後にスターを招いてインタビューするライブイベントがあった。インタビュアーは私だ。会場は満席のファンの熱気ですでに息苦しい。

 著名人へのインタビューは、私の長年の仕事のひとつだった。なかでも特に気を遣うのが宝塚スターへのインタビューだ。「清く正しく美しい」園で育ち、大勢の人に夢を売る職業に、どこまでインタビューの醍醐味である“本音”を聞く行為が許されるのか。

 まず、“本音”なんか聞いていいのかどうかさえ判断を迷う。ましてや客席には熱狂的なファンが控えている。夢見るファンには“本音”なんて聞きたくない人だっている。しかし私自身、「・・・で、本当はどんな人間?」というところにインタビューの楽しみがあるのも事実だった。

 ステージに登場したのは、満を持してその地位に上り詰めたスターだった。満を持するということは、長い間待ったということであり、もっというと、ハラハラした時期も長かったということだ。これはファンにとっても本人にとっても不安が錯綜する辛い期間だったはずだ。

 私もまた長年ハラハラしながら生きてきた。スターになるまでにどんな苦労があり、どう乗り越えるのか。私はスターからその“勝ち方”を聞きたかった。

  彼女は以前、晴れてスターになった初日の舞台挨拶でこう語った。
「夢がたとえ叶わなくても、そこに努力する道のりこそが、夢」
      夢が叶ったその日に、“叶わなくても”という表現をするスターはめずらしい。

 その後の取材でも「自分にはチャンスが来ないかもしれないと思った時期もある」と語っていた。それらの言葉からうかがい知れるのは、断念ぎりぎりのところで踏ん張ってきた姿だった。

「なぜそこまで頑張れたのですか?」と私は聞いてみた。

 彼女はじっくり振り返るように語った。自分が宝塚に合格したとき、不合格になって夢を断念した友達がたくさんいる。その人たちの悔しさを忘れるわけにはいかない、と。

 20年近い過去の出来事がいまだにモチベーションになっていることに私は驚いた。

 私もまた青春時代、芸能界を断念した仲間がいるが、私にとっては文字通り“過去”のことだった。

 「チャンスが来ないと思ったときの乗り越え方は?」とも聞いてみた。
その頃には、客席は息を呑むような静けさだった。皆がその答えに集中しているのが分かった。

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