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非主流がなんだ。ソニーの演歌はぶれていない

「ソニー・ミュージックエンタテインメント“演歌チーム”の巻」(後編)

  • 双里 大介

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2007年6月6日(水)

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栗田と(左)野村

栗田と(左)野村

野村のiPodには演歌を中心とした約900曲がダウンロードされている

野村のiPodには演歌を中心とした約900曲がダウンロードされている

 「演歌博物館を作ったら、野村は館長がやれるほど」。栗田の野村評である。野村はいまどきの若者だ。みんなと同じようにiPodを持っている。ダウンロードされている楽曲は約900曲。しかし、その中身はいまどきの若者とはまったく異なる。本人いわく「恥ずかしくて中は見せられない」。推測するに、そのほとんどが演歌を中心とした歌謡曲なのだ。

 野村は、経理スタッフとしてソニー・ミュージックエンタテインメントの関連会社に籍を置いていた。幼い頃から演歌が大好きだった。学生時代はもちろん、社会人になっても演歌への思いが変わることはなかった。しかし、音楽制作に携わりたいとはまったく思っていなかった。

 「経理をやっている人の中に、むちゃくちゃ演歌好きがいる」。その噂を聞きつけたのは栗田だった。野村のもとへ栗田から電話が入る。「今、話できますか?」「演歌好き?」「本当なの?」「興味があるならやってみない?」。あまりにも唐突で突然の申し入れ。野村は即決できなかった。

 「イベントを見にきてほしい」。栗田の誘いで野村はキャンペーンなどを見て回るようになる。自分が何気なく手にしていた1枚のCDやカセットテープが、どんな思いの末に届けられているのか、野村は生の現場に触れて実感する。そして決心した。「やってみよう」。

 ただ、時すでに遅しだった。人事異動の期限は終わり、その年の異動は不可能に。翌年、再び異動願いを出したが上司に「演歌へ異動? 本気か? やめておけ」と一蹴された。野村の願いが聞き入れられたのは、栗田から電話をもらってから2年後のことだった。

演歌専門の雑誌は少ない。できる宣伝も限られてくる

演歌専門の雑誌は少ない。できる宣伝も限られてくる

 ACルームに異動して3年。今、野村はプロモーションを担当している。演歌歌手が出演できるテレビ番組はごく限られている。レコード会社各社は、何とかその狭い枠の中に担当するアーティストを押し込もうと先を争う。雑誌も同じだ。演歌を取り上げてくれる雑誌は数少ない。担当者の責任として、野村は必死にその枠を取りに行く。

 レコード店でのキャンペーンにしても場所取り合戦が繰り広げられている。演歌のキャンペーンに協力してくれる昔ながらのレコード店は、年々その数が減り続けている。小さなレコード店を回る地方キャンペーンでさえ、マーケットが縮小している今は「順番待ち」なのだという。

会社に戻るとポスターの発送作業などに追われる

会社に戻るとポスターの発送作業などに追われる

 「打たれ強くなりました」と野村は言う。今日も野村は、テレビ局に足を運び、レコード店の店頭に張ってもらうためのポスターの発送準備をする。もちろん、キャンペーンにも同行しなければならない。机の上には、山のように積み上げられた資料とともに、常に最新のJR時刻表が置いてある。

 弱小セクションに贅沢できる予算はない。やれることは、全部自分でやらなければならない。移動する列車の中。たいていは眠りこけてしまう。

 やめたいと思ったことは?
 「やめたくないわけがない!」と野村は答える。

 半分は冗談、半分は本気だろう。それでも、やめられない。いや、やめるわけにはいかない。栗田、高木という先輩の「ひねくれ」が野村にも芽生えつつあるのかもしれない。

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