世界的に高い評価を得ているデザイナーの吉岡徳仁さんにお話を伺って、アイデアを生み出す方法論に興味を持った。1つのデザインを形にする時に、10個思いついた中から1つを選ぶといった方法ではなく、1つのアイデアを「生き物」のようにとらえ、それを育てていくという考え方をされている。
生き物にはそれぞれに固有のロジックがあり、固有の系統樹があり、固有の発達のパターンがある。それに逆らわずに、むしろ自分を消して、そのプロセスを助ける、救うというスタンスだ。この方がきっと良いデザインができる。
吉岡さんは、自分の方法論をあまり意識していないと言う。「無意識過剰」という言葉が昔あったが、無意識の中でいろんなことをやられている方だ。出来上がったデザインを、さらにブラッシュアップするために、対象にずっと向き合うのではなく、傍らに置いて、ほかの仕事をしながら、時々チェックをする。
「意識」で見るのではなくて、「無意識」で見る。そういうことなんだろうと僕は解釈した。意識で正面から見ると、それなりの見え方がしてしまう。周辺で見ていることによって、本質がかえって分かるという。周辺で見ると、気にかかっている状態になる。脳の中では、無意識のプロセスでそれをいろいろと処理し続けている。
意識が処理できることは、一度に1つだし、限界がある。無意識ではもっと並列的にいろんなことが起こり得る。無意識は並列処理、意識は逐次処理だ。だから創造性は基本的に並列的な無意識の中でしか、起こりようがない。
それをなるべく邪魔しないというのが、非常に大事なことだ。
吉岡さんのさまざまな方法論というのは、そういう無意識の働きをいかに自然な形で引き出すかという方法論なのかと、お話を伺っていて思った。
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