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産業再生機構のハンコは「3つ」

~元・産業再生機構 専務兼COO 冨山和彦氏(2)

2007年6月7日(木)

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職業としての「社長」を自ら選び、活躍している人をお招きし、将来、経営層を目指す人々に、ご自身の経験を語って頂くトークセッション「Road to CEO」。今回は、3月15日に当初の予定を1年前倒しして解散した産業再生機構の代表取締役COO、冨山和彦氏をゲストに迎えた。


元・産業再生機構 専務兼COO 冨山和彦氏

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司会、山中(以下Y) 倒産寸前のコンサルティング会社、CDIの社長になられて、一段落したあたりでどんなことを考えましたか。

 社長になったら大変です。毎年売り上げをつくらなきゃいけない。コンサルティング会社は人がすべてですから、若い連中を鍛えなきゃいけない。ボーナスも払わなきゃいけない。もう大変、大変でした。その頃ちょうど日本リース(の再建)を始めたんです。こういう再建の仕事は、別に営業したわけじゃなくて、成り行きです。他の有名なコンサルティング会社は怖がってやらないんです。

Y 日本リースの件は、さまざまなバブルの後始末だったと聞いています。

 リース部門と、倒産の原因になった不動産融資の部門があって、リース部門はGEが買ったんです。問題は残った不動産融資の部門。これはとにかく複雑ですごいんですよ。(リースというより)むしろインベストメントバンキングに近い仕事ですね。

 日本は銀行に対する行政規制が厳しかったから、リース会社に代表されるノンバンクの方が難しいスキームを組んでいて、実務的にリース会社の方が銀行より優れていたので、ここに100人ぐらいものすごく優秀な人がいたんです。

Y 倒産はしたけれど、そこにいる人は優秀だったんですね。

 買い手からすれば、そういう人が百数十人まとめて手に入るチャンスなんですよ。だから絶対高く売れると思ったんです。それでやったら、どんどん値段が釣り上がった(笑)。そういう感じでした。

司会、秋山(以下A) 企業の価値はどこにあるのかという話ですね。

 それはバランスシートに出てこない。そこが古典的な投資銀行屋さんはどうしても分からないんですよ。そういう話は嫌いだし。

A 嫌いなんですか。

 スプレッドシート(表計算)に載らないものは嫌いです。だけど、企業の超過収益は人が作り出すしかないんですよ。その人的資源の評価は、事業の中身に対する洞察がないとできないんです。

 日本のアナリストにしても機関投資家にしても、残念ながら、その点が不得手な人ばかりです。設備を売り物にした会社とか貸しビル業は完全に設備型の産業ですから、ハードアセットを見ることで、ほとんど分かるんだけれども、通常の事業会社の事業価値の原点は、ほとんど中で働いている人間です。でも世の中のM&Aの議論で、その点はほとんど議論されない。

PLを直視しなければ事業再生は不可能

Y その後の2002年、金融再生プログラムとあわせて産業再生機構の設立方針が発表されました。ちょっと小耳に挟んだんですが、その時に担当大臣の谷垣(禎一)さんにお手紙を書かれたとか。

 以前から谷垣さんのことは知っていたのです。産業再生担当大臣になられたので、「こことここに気を付けないと、こうなっちゃいますよ」というのをお手紙で書いて出したんです。

Y どんなことを書かれたのでしょうか。

 財務的な議論と事業的な議論を、銀行の人は完全に分けて考えちゃうんです。

 バランスシート(貸借対照表)とPL(損益計算書)の議論でいうと、当時の銀行は、「企業再建=バランスシートの議論」と思っていますから、バランスシート改善のためのバランスシート調整をやる、というアプローチだったんです。

A しかし、PLを見ないということは事業を見ないということですよね。

 事業に関心がなくて、よく分からないんです。ある時期から、担保収益金融と不動産バブルのせいで、物を見て貸すことしかやっていない。人を見て、事業を見て貸すという基本的なノウハウが銀行から喪失した。

 そういう銀行と、訳の分からない役人が集まってやったら、数字化できる物を見る方が分かりやすいんです。その会社の持っている在庫や機械、土地がどれだけあって、全部足し合わせたら100億円。借金が150億円だから、50億円の債権を確保すればいい。バランスシートだけで50億円の積み上げはできるからOKだ。

 これは明らかに間違いなんですよ。だって、会社をつぶさない以上、バランスシートの100億円を売り払って返すわけじゃないわけでしょう。

A その通りですね。

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「産業再生機構のハンコは「3つ」」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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