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カネボウが「分かっていても間違えた」理由

~元・産業再生機構 専務兼COO 冨山和彦氏(3)

2007年6月12日(火)

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職業としての「社長」を自ら選び、活躍している人をお招きし、将来、経営層を目指す人々に、ご自身の経験を語って頂くトークセッション「Road to CEO」。今回は、3月15日に当初の予定を1年前倒しして解散した産業再生機構の代表取締役COO、冨山和彦氏をゲストに迎えた。


元・産業再生機構 専務兼COO 冨山和彦氏

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司会、山中(以下Y) 産業再生機構には、続々とすごいメンバーが集まりましたね。皆さんのマインドを統一するのはかなりてこずりましたか。

 最初のメンバーは、しょっちゅう一緒に仕事をしていた仲間で、何が問題かということは分かっていた。だからみんな同じ価値観を持っていましたね。その次が大変だった。

Y 先ほどのお話からすると、銀行から来た方が?

 いえ、銀行の人は帰しちゃった。それで僕は怒られたんです。銀行だって、玉突きで一生懸命人事をやって、半年もたたないうちに「帰れ」と言われて帰されて、それは怒りますよね。

Y この人たちをどうするんだ、人事ローテーションが滅茶苦茶だ、と。

 怒る気持ちはよく分かるんですけど。ただ、実質的には(産業再生機構は)銀行から会社を買うわけでしょう。株主価値がなくなっているから、不良債権会社を持っているのは銀行ですからね。その売り手側から出向で来ている人は、再生機構の中でどうするんだろう、という感じはしませんか?

 いくら「自分は今、再生コンサルタントの立場だからその仕事をします」と言っても、後で(銀行に)帰るんですからね。そういう人の個人的なインセンティブを考えたら複雑ですよ。

Y 戻ったときに「お前はなぜ、うちが持っている会社に低い値を付けたんだ」という話になりますね。

マルチプレイヤーを揃えた結果、大げんか

 絶対そうなるに決まっている。自分の銀行と対峙するのだってつらいし、よその銀行と対峙したら、「あの担当があの銀行出身だから」となっちゃう。そういうリアルな想像力を働かせたら「帰ってもらった方がお互いのためだ」と思ったから、帰ってもらったんです。

 次に30代の社員を採ったんですよ。それは私なりの、またちょっと今度は非アメリカ的、アンチアメリカ的な信念があった。

Y 何でしょうか?

 こういう企業再生の分野には何種類かの“専門医”がいます。法律家、会計士、税務、財務、経営系の人。

 普通のプロフェッショナルファームは、分野ごとにモジュール化されているんです。この分は経営戦略コンサルタント、この分は会計士の仕事という具合になっています。そういうモジュール化したプロフェッショナルサービスはアメリカで発達したモデルで、対象企業の側もモジュール化されていればすごくフィット感がいいんです。

 しかし、日本企業はそこまでモジュールになっていないんです。

 いい会社ほどそう。非常にあいまいに有機的に絡み合いながら、あうんの呼吸で仕事をしているんです。そういった会社に経営支援をやっていくとき、これはリーガルチーム、これはアカウンティングチームと分けるのはだめだと思うんですよ。

 僕自身がわりとハイブリッド型の人間だったので、弁護士も採ったし、会計士も採ったし、コンサルタントも投資銀行家も採りましたけど、全部ワンプールにしたんです。弁護士にも、「ここに来たらちゃんと財務のことも勉強しろ」と。だって弁護士だったら外部の人を雇えばいいんだから。「あなたは法律分野が本籍だけど、今は全部やるマルチプレーヤーなんですよ」ということで集めたんですけど…文化が違うと、けんかを始めるんです。

司会、秋山(以下A) けんかですか。

 会計士と弁護士とコンサルタントで。だって、もともと宗教が違うのに近いでしょう。コンサルタントからすると、会計士は融通が利かなくて細かくて、「何だ、こいつら」になるし、会計士からするとコンサルタントはいいかげんであいまいで、同じく「何だ」になる。あるいは同じ金融でもそう。銀行系と証券系、投資銀行系とそれぞれ違う。

A 面白い。

 大げんかになって、最初の1年は、結構辞めちゃった人がいたんです。そこが大変でしたね。ただ、実際の戦場に行くと、最初のうちはけんかもあるけど、ドンパチ始まるとけんかなんかしていられない。生き残らなきゃいけないから。

A けんかを通して、自分とはまったく違う考え方を学んだということですか。

 きれいに言うとそう。だから後で、元BCGとかマッキンゼーの人から見て、「あの頭の硬い会計士が言っていたことは、腹は立つけれど確かに重要だ」ということが起きるんです。

 普通に戦略コンサルタントをやっていると、手元流動性なんて、あまり気にしないわけでしょう。ところが、ある案件で実際にあったんだけど、ある瞬間、手元流動性が2週間分しかなくなるような資金繰り表だったんですよ。

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「カネボウが「分かっていても間違えた」理由」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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