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“産業再生機構”流「失敗から学ぶ」方法

~元・産業再生機構 専務兼COO 冨山和彦氏(5)

2007年6月19日(火)

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職業としての「社長」を自ら選び、活躍している人をお招きし、将来、経営層を目指す人々に、ご自身の経験を語って頂くトークセッション「Road to CEO」。今回は、3月15日に当初の予定を1年前倒しして解散した産業再生機構の代表取締役COO、冨山和彦氏をゲストに迎えた。


元・産業再生機構 専務兼COO 冨山和彦氏

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司会、山中(以下Y) それではご質問のある方、挙手をお願いしたします。

Q 「失敗から学べ」と言われるんですが、失敗して、その失敗の原因をちゃんと分析して、成功に変えるのはすごく難しいと思うんです。どうすればいいのでしょうか。

冨山 どれだけ自分を客観視できるかという話ですね。自分の中にもう1人の自分を常に用意しておき、本当の自分は、自分を見ている自分だと思った方がよいと思います。

Y 失敗している自分は自分じゃない、ということですか。

冨山 例えば将棋があります。経営の仕事は、僕が例えばCOOだったとすると、自分はCOOという駒でもあるんです。玉なんです。玉として、いろいろなことをやっているわけです。それと将棋を指している自分がいるんです。実際の経営というのは、現場で切った張ったをやっているので、結局、盤上にいる玉が自分なんですよ。

 動き方を間違えて詰んだりすることもあるんでけど、それを振り返るのは過去の自分。それは自分であって自分じゃないんです。分かります? 日ごろからそういう癖をつけておくといいです。そう思うと、意外と気軽に自分のバカさ加減を自分で笑えたりするんです。

 もう1点だけ言うと、絶対変わっちゃいけない部分もあります。人間として持っている哲学や価値観ですね。そのレベルで間違えた自分は許せなくて、それは振り返りたくない自分でもある。それに比べたら、戦略的判断を間違えた自分なんて、そんなに罪深くないんですよ。

 いろいろな人を見ているんですけど、その辺の一番大事な哲学とか価値観、経営観を持っている人の方が、それ以外の自分がやっていることに対して、気軽に反省できるのかもしれない。

 戦略論を皆さん、ビジネススクールで勉強しますね。戦略が正しいか正しくないかというのは、あれ、やってみないと検証できないんです。実験室の中でやれないんだから。それはしょせん「当たるも八卦、当たらずも八卦」なんです。

 大事なことは、戦略なしでやると、仮説なき戦いなんですよ。だから戦略が必要なんです。だけれども、哲学的な一番手元のところで間違えるというのは、仮説が間違っていました、では済まない話。

 ただ、哲学とか自分の世界観とか人生観というのもね。例えば学生のときには、哲学書を読んでも宗教書を読んでもつまらないんです。ところが、ある案件で1万人に辞めてもらわなきゃいけない、極めて冷徹な判断をしなきゃいけないという決断を迫られている状況で、いろいろな問題がトレードオフになっているときに、夜、古典を読む。

 どうなると思いますか。読んでいて、自然に涙が出てくるんですよ。自分が何に感動するか、そこで初めて分かるんです。自分が依って立つものがだんだん形成されてくるんですね。

 CDIのリストラのときもそうでした。80人の会社で40人、減らしたんだけど、生半可じゃない。小さい会社は大変なんですよ、みんな顔と名前がよく分かっていますから。そういうときは絶対寝ていても眠れないんですよ。ずっと同じところをぐるぐる回って考えている。

 そういうとき、論語でも聖書でも何でもいい、読むと、何カ所か涙が出てくるところがあるんです。それはつまり、古典の中には長い時間に堪えた、真理が語られているからなんです。たくさんの人間がそこに読みとってきた、哲学、価値観に触れるから涙が出る。これが、その先の支えになります。失敗から学べる最大のものがこれですね。

 ということで、思い切り苦労して、眠れない夜を迎えたら古典を読む、これをお薦めします(笑)。

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「“産業再生機構”流「失敗から学ぶ」方法」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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