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逆境から這い上がる「生命力」とは?

~宮大工・菊池恭二~

  • 茂木 健一郎

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2007年6月12日(火)

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 現代を代表する宮大工の菊池恭二さんにお話を伺って、奈落の底ともいうべき逆境から、どう這い上がるかという「生命力」という視点から見て、普遍性のある話が聞けた。

 作業場が火事に遭い、木材が焼けてしまった時、周囲の人をぐっと見返して、「ちゃんと作るんだ」「大丈夫なんだ」と訴えかけた。そこの人間としての生きる力、生命力の出し方を感じた。

 それは、ひょっとすると下積み修行の苦しい経験から培われたものかもしれない。日本の場合、受験戦争というものがあるのに、そういう方向に結びついていないのが残念だ。ひ弱な受験秀才ばかり作って、「生きる力」がどうして生み出されないのだろう。これは大いなる反省点だと思う。

 現代人はますます「生命力」を鍛える機会が失われているという感じがする。合理的な考え方をする人は「そうして掃除なんかするんだ」とか「それは無駄だ」と思う。割り切って、これとこれのスキルを身につければいいんだというようなアプローチでは身につかない力もある。それが逆境でも生き抜く力というか、奈落の底でもそこから這い上がる力だ。

 宮大工というのは特殊な世界だから、現代の普通の生活をしている人にとっては遠い世界だと思われがちである。しかし、非合理的とか前近代的で片付けられてしまっているものの中に、現代人が忘れてしまっている力を養成するノウハウが入っているかも知れない。

「ピンチ」は人格を変えるための「チャンス」

 危機に瀕したときの脳は、研究するのが難しいために、まだそんなに解明されているわけではない。基本的に「情動系」が脳の変化の方向を大きな意味で導いていることは事実だ。幸せな時は、大きく変わる必要がない。

 そういう時にも脳は穏やかに変化はしているが、逆境とかピンチの時は、いままでのやり方ではやっていけない。脳がフル回転してなんとかしようとする。ストレスも感じるし、不安や恐怖も感じたりするのだが、同時に脳はつなぎ変わっていく。それはある程度、部分的にはメカニズムとして分かっていることだ。

 だからピンチとか逆境というのは、自分を変える大きなチャンスでもある。下手をするとそこでバランスを崩して潰されてしまう可能性もある。だからそういう時にこそ「生命の底力」が必要になる。そのためには、案外、つらい修行などが役に立つのかもしれない。

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棟梁(とうりょう)の器は、人生の深さ
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
6月12日(火)午後10:00~10:43
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05~1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05~4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15~5:59
番組公式サイト
本・CD・DVD紹介サイト
 国の特別史跡・名勝に指定されている岩手・平泉の毛越寺の本堂建立や、日蓮聖人入滅の地として知られる東京・池上本門寺の五重塔修復、そして白鳳時代の威容を再現した奈良・薬師寺の西塔。これら数々の伝統木造建築を手がけてきた日本屈指の宮大工・菊池恭二(55)。これまでに建立・修復した寺社は80を超える。
 
 木には、一本一本に異なる「木癖」と呼ばれる特徴がある。菊池は、それを読み切り、木材を巧みに組み合わせ、建物をくみ上げる。伝統的な技法を受け継ぐ確かな腕だけでなく、失敗の許され得ない重い決断を下す人間力が求められる。その棟梁(とうりょう)としての力量を支えるのは、己の人生の深さだと菊池はいう。
 
 今年3月下旬、菊池の腕を頼りに緊急の応援要請が入った。現場は、大分の文化財の修復。室町時代の建築様式に、地元の職人たちは全く手が出せない。菊池は、無事、大仕事をやりきることができるのか。
 
 この春、宮大工・菊池の寺社建築の現場に完全密着、その流儀に迫る。


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