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  • 遥 洋子

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2007年6月15日(金)

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 豪雨だった。
 朝から新幹線に乗らねばならなかった。タクシーを呼ぼうと電話したが話し中だ。子機を首に挟みながら身支度を整えつつ、意地になって1分おきにリダイヤルした。30分間ずっと話し中だった。

 タクシーをあきらめ歩いてバス停に向かった。スーツが瞬時に雨と跳ねた泥を吸い込んだ。運よく空車タクシーが走っていたので飛び乗った。

 それまでの憤まんをたまたま乗ったタクシーの運転手にぶつけた。
「いったいどういう事情があって、タクシー会社が30分間も話し中なわけ?」
「雨でっさかいな」
 関西の年配男性がよく使う、どこかひょうひょうとしながら、粘りのある大阪弁で答えた。

「雨はあきまへん。受話器をずっとはずしてますのや。どこの会社も皆そうでっせ」
「なんで雨だったら予約用の受話器をはずすの?」
私はカリカリと問いただした。

 運転手はうへらうへら笑うように答えた。
「こんな雨やったら予約場所に行く途中で、いくらでも客拾えまんがな。タクシー取り合う時にはタクシー会社っちゅーのは受話器はずしまんねん。どこでもでっせ。タクシー余ってる時はほいほい電話取りまんねん。で、空港とか遠いところやったら空車やらせますって言いまんねん。近い所やったら、あいにく車おませんわって言いまんねん。どの会社もそうでっせ」

 世間知らずのお嬢さんを教え諭すように運転手は言った。世の中そんなもんだと、ひょうひょうと生きる男性にとっては、「あのタクシー会社は二度と使わない」と湯気を上げて怒る私がさぞかし尖った女に映ったことだろう。

 駅の構内で、気を落ち着けようとコーヒースタンドに入った。注文の列に並びながら180円のコーヒーを溜まった小銭で支払おうと、10円玉や1円玉までかき集めて握った。支払おうと思った時だった。なにかのはずみで小銭を床にばら撒いてしまった。

 朝から苛立っていた私は、自分の失態にもかかわらず、そこにいた全員に当たるように叫んだ。

「もう!全部お金落としちゃった!」

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