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教育“委員会”を再生せよ

  • 渡邉 美樹

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2007年7月5日(木)

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 教育委員会をお役所、あるいは準お役所的組織だと思っている方は、意外に多いのではないでしょうか?

 けれども、実はまったく逆なのです。

 教育委員会は、都道府県単位、市町村単位の独立した執行機関で、メンバーも役人ではなく一般市民から選ばれます。といっても、いわゆる市民団体からではありません。市民の立場から行政に参加する公職、本来の意味での「オンブズマン」。それが教育委員会です。

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

 こう書くと、ほう、教育委員会って、実は素晴らしい仕組みじゃないか? と思いますよね。そのとおり。「官」の暴走を「民」が防ぐためのきわめて民主的な仕組みなのです。

 ところが、いまでは教育委員会の本来の意味がすっかり失われているようなのです。

 私は2006年から、神奈川県教育委員会に委員として名を連ねています。おかげで私は、月に1回、必ず教育委員会でひと暴れすることになってしまいました。

 先日も、団塊世代の教師の大量退職に伴う新規採用という、大変重要な問題を話し合いました。何千人もの先生が一斉退職したら、教育現場ではすさまじい人手不足に見舞われます。そこで今後、学校の現場では新人教師が大量採用されようとしているわけです。

 人手不足が叫ばれている時代に闇雲な大量採用をすると、被雇用者の平均的な質が下がるのは、官民どちらもいっしょです。早い話、教師の質が下がるおそれがあるのです。

 しかも、現在の教員採用制度にはそもそも不備があります。なぜなら大学を出て、そのまま20代前半で教師になってしまう。新人教師がベテラン教師と肩を並べて、いきなり生徒たちを教育するわけです。

 以上の問題を現状に照らし合わせるとどうなるか? ベテラン教師が大量に抜けたあと、大量採用の、しかも何の訓練もされていない新人教師が大量に入ってきて、学校教育を行う。どう考えても、教育の質は低下してしまいます。そうなると学校教育の主人公である生徒たちが大きな被害を蒙ることになってしまう。

 そこで私は、教育委員会でこんなアイデアを出しました。

 ……まず2年間なり3年間なりのインターンシップ制度を設ける。そして教員志望者は、大学を出たら教育現場できちんと研修を受け、インターンをちゃんと務めたうえで初めて、生徒を単独で教えることができるようにする。

 医者と同じです。必ず2年間、指導医の先生について、研修医という立場で勉強してから独り立ちする。教師だって見習いの期間があって当たり前ですし、現に私が経営する郁文館夢学園では、こうしたインターンシップ制度を取り入れています。

 ところが私の主張に対して、委員の方々はこうおっしゃいます。
「そんな厳しい制度をつくったら、先生方がほかの県に行ってしまう。神奈川の学校には来てくれなくなる」

 もちろんこの程度の反論は織り込み済みです。そこで私は持論その2を開陳しました。

「いまの先生たちがかわいそうです」に絶句

「だったら、教員免許を持っている社会人の方、あるいは免許のない方でも、優れた知識や経験、技能を備えた社会人を新人教師として採用すればいいじゃないですか?」

 実は特別免許状制度というのがあって、都道府県教育委員会の教育職員検定を受ければ、免許のない人でも教師として採用できるのです。また、特に専門知識や技能を要する分野に限って教えることができる、特別非常勤講師という制度もあります。

 けれども彼らは、こんなあきれたロジックで反論してきたのです。
「それでは一生懸命勉強して免許を取ったいまの先生たちがかわいそうだし、教師を目指して勉強している学生さんが意欲をなくしてしまう」

 なんてことはない、彼ら教育委員会にとって大事なのは、生徒たちではなく、自分たちと利害の一致する既存の教師とその予備軍だったわけです。生徒のためを思って教師の質を上げるよりも、既得権益を守るほうが大事、というわけです。

 かくして私の提案は潰されてしまいました。

 この件に限らず、教育委員会というのは何のため、誰のために存在するのだろうと思う瞬間が、多々あります。

 たとえば教育委員会の学校訪問というのがあります。学校がちゃんとした教育を行っているかどうかをチェックするためにある制度です。

 ところがこの学校訪問、訪問先の学校に日時と場所を予告してから行くわけです。
予告して行ったら、学校側はその訪問日だけ「よそ行き」の顔をするに決まっている。教育現場の真実なんか見えるわけがない。

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