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私の考える「市場主義」と「競争」とは
 ~お金の話は汚いですか?

  • 渡邉 美樹

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2007年7月26日(木)

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 私は、マスコミの取材などを通じて、公的サービスに関する持論を世間に発信してきました。

 その結果、多くの方々からの賛同や理解を得ることができましたが、一方で手厳しい批判もいただくことになりました。

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

 批判の中でもとくに目立つのは、「渡邉美樹は、教育も医療も福祉・介護も農業も環境も、公的サービスすべてを市場原理だけで解決しようとする、マーケット至上主義者である」「どんな分野にも競争原理を持ち込んで、弱肉強食の格差社会を生み出そうとしている」という意見です。

 こうした批判をする人たちの一部は、明らかに私の主張を歪め、意図的に曲解し、悪意を持って流布することで自己保身を図ろうとする方々です。彼らには最初から私の真意など理解する気がないわけですから、こちらとしても闘志をかき立てられこそすれ、さらなる説得や説明の必要は感じません。

 けれども、私の発言に対し、誤った判断をされている方もいるかもしれません。同時に、私自身、自分の考えや意見が第三者にどう伝わるかということに関して、いささか無頓着過ぎた面があったと反省もしているのです。

 たとえば、私が頻繁に使用する「市場主義」や「競争」といった言葉のイメージ。これが、人によってずいぶん違うのです。

 私はこうした言葉にポジティブな意味を込めて使っているのですが、同じ言葉にネガティブな印象を持っている方もいらっしゃいます。

 そこでここでは、「市場主義」と「競争」というふたつの言葉に、私がどんな意味を込めて使っているか、説明したいと思います。

 まず、「市場主義」あるいは「市場経済」という言葉について。
 現在の日本と世界の大半では、「市場主義」をベースに経済活動が成り立っています。「官」の統制下にある日本の公的サービス分野はむしろ例外に属するわけです。ただし、何度か主張しているとおり、市場経済はあくまでツールにすぎません。企業活動や消費生活を円滑にするためのまさしく道具なのです。そこで流通するお金もツール、あるいは一種のメディアにすぎません。

お金はツールであって、きれいも汚いもない

 このお金というツールは、教育、医療、介護、農業・環境といった公的サービス分野でも、同じように流通しています。にもかかわらず、「学校で、お金のことをとやかくいうのは好ましくない」「病院でお金のことを持ち出すのは汚らわしい」「老人ホームでお金の話はしたくない」と主張される方が少なくない。

 お金は事業を成り立たせるためのツールにすぎないのですから、お金自体にきれいも汚いもないのです。むしろそういってお金から目をそむけたりするから、学校や病院が経営破綻したりするのです。

 繰り返します。市場主義もお金もあくまでツールです。人間の価値を決めるものではありません。あまりにも当然のことなので、私はそこまで説明する必要はないだろうと思っていたのですが、誤解を受けたままで批判されるのは不本意なことですから、あえて念を押しておきます。

 おそらく「お金は汚い」とおっしゃる方は、お金のことをちゃんと考えろ、と主張する渡邉のような人間は金儲けだけが目的に違いない、と勘違いされるのでしょう。

 でも、お金儲けだけが目的ならば、学校や病院や福祉・介護や農業、環境のような、規制もハードルもたくさんある「儲からない」分野にわざわざ進出したりしません。

 お金のことをきちんと考え、ちゃんと経営が成り立つようにしなければ、結局のところ、生徒や患者やお年寄に報いることはできないのです。だからこそ、私はツールとしての市場とお金のことを、もっとみんな真剣に考えたほうがいい、と申し上げているのです。

 次に「競争」について。
「競争」は市場経済で必然的に起こる人の行動です。こちらも、それ以上でもそれ以下でもありません。ところが、ある種の日本人には拒否反応の強い言葉です。

コメント93件コメント/レビュー

経営のイロハも知らぬ一般社会人です。現在進行している経済の最先端を担うリーダーのお一人と、それに対する皆様の意見、とても興味深く読ませて頂きました。社長さんの西洋的・合理的考え方、対する意見である相互扶助をより強く尊ぶ考え方。乱暴かつ幼稚なくくりですが、結局の両者の落としどころは、刺激の無い、まさに”適当な”ところなのではないかと感じますねえ。で、ここを越えようとするなら、もうこっから先はアメリカさんの自由市場主義を呑み込むような、経済とはまた異なる根っこから出発する人類規模のうねりが必要なんじゃないんでしょうか。お金は、ツールであり血液。ここは社長さんに賛同します。その先の感性は人間まだまだなんですなぁ。わたしも勉強します。(2010/03/14)

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いただいたコメント

経営のイロハも知らぬ一般社会人です。現在進行している経済の最先端を担うリーダーのお一人と、それに対する皆様の意見、とても興味深く読ませて頂きました。社長さんの西洋的・合理的考え方、対する意見である相互扶助をより強く尊ぶ考え方。乱暴かつ幼稚なくくりですが、結局の両者の落としどころは、刺激の無い、まさに”適当な”ところなのではないかと感じますねえ。で、ここを越えようとするなら、もうこっから先はアメリカさんの自由市場主義を呑み込むような、経済とはまた異なる根っこから出発する人類規模のうねりが必要なんじゃないんでしょうか。お金は、ツールであり血液。ここは社長さんに賛同します。その先の感性は人間まだまだなんですなぁ。わたしも勉強します。(2010/03/14)

本来の競争の意味を訴えるだけでは、「長期的にはみんなの不利益になるのを承知で目先の自分の利益を優先する歪んだ競争主義がまかり通っている現状を目の当たりにした上で競争批判をする方たち」への回答にはなりえないのではと思います。本来の理想だけを言うのなら、官のあり方というのも、身分が保証されることによって自分個人やそれに連なる特定団体の利益不利益に左右されず純粋に国民の利益になるような正しい選択が出来る立場だという意味があるはずです。 どちらにしても今一番欠けているのは性悪説に基づいての、ルールの悪用、ルール違反を犯したものへの厳罰ではないかと思います。(2008/02/06)

市場原理だとか競争という言葉がお好きなようですが、国境を越えてきたものをそのまま当てはめようとするのはおかしいことだと理解をしていないようですね。お金の話を汚いと思うのはこれは日本人として当たり前のことです。その根本には、独り占めをしてはイケナイという考えがあるからだと思います。ワタミの介護現場での悲しい記事を読みましたが、働くということ、働いてもらうということがどういうことかをもう一度問い直したほうがいいと思われます。競争は悪いことではなくいい風に使えばいい働きをすると思います。体の仕組みを見ればわかりますが、血も一箇所に溜まればよくないですよね、お金も血と同様に隅々にまで渡ればすべてが良くなります。渡辺という名前は隅々にまで渡せよという意味だと思いますよ。(2007/10/06)

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三品 和広 神戸大学教授