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官not公の時代、なのです

  • 渡邉 美樹

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2007年8月9日(木)

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 日本の公的サービスが、その目的を見失ってしまった根本的な原因を追及していくと、ひとつの誤った思い込みにたどり着きます。

 それは「官=公」である、という思い込みです。

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

 いや、刷り込みといったほうが正確かもしれません。というのも、公的サービスの従事者のみならず、私たち国民自身が、「公的な事業はお役所がやるものだ。民間に任せてはいけないんだ」という古い“常識”に支配されているからです。

 実際、役人やその配下の公的サービスの担い手たちが犯す過ちや意図的な不正を、私たちは飽きるほど見せつけられてきました。もう、「官」に任せていてはダメだ、というのは、日本国民の潜在的な実感でしょう。

 それなのに、いざ私のような人間が「いまこそ公的なサービスもすべて民間に任せて、自由競争させればいいんだ」と主張すると、多くの人たちが「いや、そこまではちょっと……」と腰砕けになってしまう。肝心なところで、「官」に対する日本人特有の「お上意識」が顔を出す。「官=公」の刷り込みには、それほど根深いものがあります。

 では、「公」の仕事をする資格とは、いったい何なのでしょうか。

 条件として考えられるのは、国民のことを第一に考えて仕事をすること、国民から預かったお金をムダにしないこと、そして、その仕事内容を国民がチェックできるよう、完全な情報公開を行うことです。そのうえで、万が一にも国民を裏切るようなことがあれば、罰を受け、公的な仕事から退場させられる、という厳格なルールが存在し、機能することです。

 民間企業に「公」の仕事は任せられない、ということは、民間企業ではこうした条件を満たせない、ということなのでしょうか? 己の利益ばかりを追求し、消費者=国民のことなど考えない、それが民間企業、ということなのでしょうか?

 とんでもない屁理屈です。
 民間企業は、まずお客さまを獲得しなければ仕事が始まりません。とりわけワタミのような個人客相手の外食ビジネスでは、毎日毎日、顧客獲得競争に明け暮れています。少しでも手を抜けば、あっという間に無数のライバルたちにお客さまを奪われる。そのくらい厳しい世界なのです。

 こうした厳しい競争を経てお客さまを獲得できると、ようやく収益が上がります。すると、どうなるか。

民間が儲かれば、公的な効果が社会に生まれる

 まず、お客さまに利益を還元できます。よりおいしいメニューを、よりよいサービスを、より安価で提供できるようになるからです。それから従業員に利益を還元できます。より高い給料を、より厚い福利厚生を手当てできるようになるからです。もちろん株主さまに利益を還元できます。より高い株価を、より豊かな配当を差し上げられるからです。さらに社会に利益を還元できます。より多くの雇用機会を、そしてより多くの税金を提供できるようになるからです。

 おわかりいただけますか? 民間企業が儲かれば、それだけできわめて「公的」な効果が、広く社会にもたらされるのです。

 そのうえ、民間企業は社会からの非常に厳しいチェックにさらされています。

 まず、なんといってもお客さまが選んでくださるかどうか、というチェックがあります。

 それから、株式上場するにあたっては主幹事証券会社の厳しい審査があります。さらに上場申請のために膨大な量の有価証券報告書を作成して、証券取引所の審査も受けねばなりません。しかも、合格したら一生安定の教員免許や医師免許と異なり、一回上場してもそれで会社が一生安泰とはなりません。たしかに信用はつきます。しかし一方で、上場以降は投資家に対して、そして社会に対して、経営内容を常にオープンにしなければなりません。株価の変動は、毎日、マスメディアによって伝えられます。会社の経営内容を有価証券報告書という形で提出させられます。半期報告書もありますし、四半期報告書も義務化されそうです。もちろん株主総会があります。そこで経営に少しでも疑義があれば、株主は会社の提案を議決してくれません。不祥事でも起こした日には、経営者のクビだって飛ぶかもしれません。

 これだけ厳しい世間の評価にさらされたうえで、ワタミの場合、2007年3月末現在、1年間にグループ全体でのべ3500万人のお客さまをお迎えし、3200人の従業員を雇用し、7万3898人もの株主さまに投資いただいております。

 私は、外食こそ真に「公」的な仕事だと思っています。人々の生活に欠かせない食を提供し、幸せを供給しているからです。補助金ももらわず、赤字も出さずに。

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