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ものづくりに斬り込む意志強固な人(その8)

サキコーポレーション社長・秋山咲恵 ―― 社員の絆

  • 高橋 三千綱

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2007年7月6日(金)

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 前年度の総売り上げが3000万円に満たない会社が、4500万円の資本金を得たのだから、会社には少しの余裕ができた。高金利に追われて、日銭を稼ぐこともしないですむようになったのだ。落ち着けたと同時に、自由な気持ちが生まれた。

 それから、営業部員も強化した。ソニーボンソンとの提携で、ぽつぽつそちらの仕事も入ってくる。嬉しかったのは、ソニーボンソンで最初に生産ラインに乗った検査装置が、その年のクリスマスに売り出すウォークマンの製造に、さっそく役に立ったことだ。

 「テレビのコマーシャルに流れていたんです。型式を見たら、自分たちが検査している基板に書いてある型式と同じなんです。工場にいったら、そこに自分たちの製品があって、わー、うちの子が頑張って働いていると感激しました」

 それでも、ほかの大企業でも、基板の検査装置をつくっている以上、サキコーポレーションの検査装置が飛ぶように売れるわけではなかった。ソニーボンソンとの提携で出した製品は、翌年、6台。自分たちがメーカーとなって出す製品は、日本ではなかなか買い手がつかず、最初に注文がきたのは、シンガポールの会社からだった。

秋山 咲恵氏

秋山 咲恵(あきやま・さきえ)氏

1962年生まれ。奈良県出身。87年京都大学法学部卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。94年、松下電器産業の研究者だった夫の秋山吉宏とともにサキコーポレーションを設立。代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。政府税制調査会委員、経済産業省の「中小企業政策審議会」委員などを歴任。

 経営の難しさを改めて痛感する中で、咲恵さんは、融資をしてくれた人たちへ、会社の様子と業務内容を正直に知らせる「マンスリーレポート」を書くことにした。

 「これからは、自分たちの人生を切りひらくための会社から、人からお預かりしたお金で商売をさせてもらう会社に変わったわけです。まだ、利益も満足に出せないので、せめてちゃんと報告することにしたんです」

 そこには販売実績、活動状況、これからの方針などの他に、入社したばかりの社員を解雇せざるを得なかった理由まで記した。これは5年間つづいた。

 1994年に第1号機を売り出したサキコーポレーションの検査装置は、次第に売り上げを重ねて、97年には31台を売り上げ、業界8位にランクされるまでに成長した。

 この頃には不眠症で苦しんでいた咲恵さんの面影はなく、すでにプレイヤーから、プレイングマネジャーの立場に変わっていた。

 1998年になると、三十数台の出荷のうち、ソニーボンソンを通しての販売台数が、半分以下になり、99年には、サキコーポレーションのブランドの販売が、8割をしめるようになった。

 「最初は数台だったものが、だんだんときがたって、ちょっと大きい工場にいくと、うちの商品がずらりと並んでいる。そういう風景を見たときは、鳥肌がたちます。会社の成長を目の当たりにするのですから。その場所が地球の裏側だったりすると、何もないところのただのビジョンが、現実になったんだと実感します」

 その実感とは、喜んでもらえるものを、つくり出せたんだという感動だ。これは、ものづくりに日夜研鑽している人でないと分からない幸福な到達感だろう。

 しかし、会社の成長するにつれて、自分の能力の限界にぶつかることもしばしばだった。

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