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利益と理念、経営者はどちらを取るか

  • 渡邉 美樹

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2007年8月23日(木)

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 たいていの会社には「企業理念」というものがあって、だいたい「正しいこと」が書いてあります。不祥事を起こした企業でも、たぶん立派な理念が掲げられているはずです。間違っても「会社のためなら、不正も正義」とは書いてないでしょう。

 立派な企業理念を建前に終わらせるのか、実効性を伴う行動規範にまで敷衍するのか。私はそこで経営者の資質が問われると思っています。

ワタミの企業理念

ワタミの企業理念

 ワタミの企業理念は「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」です。そして私は、この理念が役員にも従業員にも正しく理解され、浸透し、仕事の現場で機能することを望みますし、それを強く求めます。

 この理念に私が行き着くまでには、さまざまなことがありました。

 話は少年時代に遡ります。小学校4年の時に母親が入院し、翌年亡くなったこと。それと相前後して、父親が経営していた会社を清算したこと。さらに、ただでさえそんな不安定な時期に、一人の小学校教師に執拗ないじめを受けたことは、決して忘れることができません。

小学校の教師から受けた執拗ないじめ

 当時ガキ大将で大人のいうことなどまったく聞かない子どもだった私を、その教師は大変疎ましく思っていました。それで何をしたかというと、黒板に「朱に交われば赤くなる」と書いてから授業を始めるようになったのです。

 この「朱」とは私のことでした。いくらガキ大将といってもしょせん小学生。私はこの教師の執拗な個人攻撃におかしくなりそうでした。小学校6年のときは、私の人生の中で最も精神的なバランスを崩した時期だったと思います。

 中学校時代には亡き母への思いから、キリスト教系の宗教団体に帰依したこともあります。そこでは聖書の素晴らしさを学びましたが、同時にこの団体の矛盾にも気づき、3年で縁を切りました。しかし、そのころ初めて経験した、とある福祉施設でのボランティア活動は、その後大学時代も続けました。

 そんな多感な時期の経験から、「人間の幸せとは何だろうか」と考えるようになったのです。

 大学を卒業する前に、私は2カ月ほどかけて北半球を1人で回りました。そして、ニューヨークのあるライブハウスで、外食事業を始めるきっかけとなる体験をしたのです。

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

ワタミ代表取締役社長・CEO 渡邊 美樹氏

 その店では、人種も、性別も、国籍も、主義主張も、貧富の差も関係なく、すべての客が最高の笑顔で、心の底から楽しんでいました。

 私は、いいようのない感動を覚えました。
「人を幸せにするというのは、何と素晴らしいことか。自分もビジネスを起こすのであれば、こんなふうにすべてのお客さまを幸せにするような仕事をしよう」

 そう決心したのです。

 同時に、人を幸せにすることで自分も幸せになろう、自分の会社で働く社員たちも幸せにしよう。人に尽くすことが「苦行」であってはいけない。だから自分も幸せになろう、とも決めました。

 では、お客さまも、社員も、そして自分も幸せになる経営とは? それは、不断の経営努力により、みなさんから「ありがとう」を集めることだと気づいたのです。

家もクルマも、欲しかったです

 正直にいえば、創業したころには、「庭付き一戸建てが欲しい」とか、「中古のクラウンが欲しい」とか、年相応の欲望もあったのですが、まあ、それはそれでよかったと思います。大切なのは、そこから次のステップにちゃんと上がっていくことなのです。

 26歳で経営者となると、私は具体的に「社員の幸せって何だろうか」と考えるようになりました。

 おそらく、ただお金とか地位とか安穏な生活が手に入ることだけじゃないだろう。汗を流しながら、世のため人のために一生懸命手間をかけながら、それで喜んでもらう。それが社員にとっても最高の人生の幸せ、ではないだろうか。

 しかし、現実はそう簡単ではありません。

コメント38件コメント/レビュー

この記事を読んで少し不安になりました。仕事が楽しく、やりがいを感じることで幸せな成れることはよいことです。しかもその行為によってさらに幸福感を味わうことが出来るお客がいる。経営者と志を同じとするものたちで会社を運営することは一体感があってそれは楽しいでしょう。心配なのは従業員の労働環境です。楽しくて好きでやっているのだからかまわないじゃないかという意見もあると思いますが、働き過ぎは結果的に不幸を招きます。労基法を守って適正な労務管理が行われていることを信じたいですが、その辺のコメントが全くないことが不安です。(2007/08/30)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

この記事を読んで少し不安になりました。仕事が楽しく、やりがいを感じることで幸せな成れることはよいことです。しかもその行為によってさらに幸福感を味わうことが出来るお客がいる。経営者と志を同じとするものたちで会社を運営することは一体感があってそれは楽しいでしょう。心配なのは従業員の労働環境です。楽しくて好きでやっているのだからかまわないじゃないかという意見もあると思いますが、働き過ぎは結果的に不幸を招きます。労基法を守って適正な労務管理が行われていることを信じたいですが、その辺のコメントが全くないことが不安です。(2007/08/30)

まだ利益が十分にあがってないので労働強化しても給料は上げられない、というなら理屈として理解できますが、お客様に喜んでいただく、という労働の喜びを、君たち労働者には与えてやっているのだからありがたく思え、労働強化にも黙って応じろ、嫌なら辞めていただいて結構、というやりかたは果たして経営といえるんでしょうか。これはお客様への奉仕ではなく、単に経営者への奉仕にすぎません。もしも経営者が国家に替わったら?渡邊さんには間違っても政治などに携わっていただきたくないですね。(2007/08/29)

こんにちは 49歳サラリーマンです。すばらしい理念だと思います。人のために尽くす と言うことをガッコウが教えないと言うコメントがありましたが だったら自分で自分の子供に教えなさいと言いたい。 「ガッコウのせい」にして自分では何もやらない考えない人、お題目で「平等公平機会均等」だけを標榜する役人達に、「今日もお客様のために尽くします」と3回唱和させてから仕事するよう法律をつくるべきだと思います。    ただしここで理念の共有は大事ですが、理念共有→共通の目標設定→具体的な計画(人モノ金)→実行→結果の評価→計画の修正の過程が必要だと思うのですが、よい実務スキルを持つ者、工夫のできる人材は必要ではないのでしょうか。バランスが大事だとは思いますが 手際の悪い人たち(非正規雇用者も併せ)が手際よく実行できるための どういう工夫をしたのか を知りたいですね。どんな人でも?1年かければ何とかなる、と言う事なんでしょうか?(2007/08/29)

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