• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

CSR解体新書(3)偽装が示す企業の本質

ミートホープは「詐欺」だけの問題か

2007年7月9日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 CSR(企業の社会的責任)というと「環境問題」の話題ばっかりになる傾向がハッキリ、ありますね。これをもっとローカルな「物流」の観点から考えたいと思っていたら、いかにもな話題が飛び込んできました。ミートホープ偽装牛肉問題です。

 同社の技術とビジネスは、単にスキャンダルと思って見逃すにはもったいない。実に示唆的なポイントがいくつもあります。今回はちょっと別の方向からアプローチしてみましょう。

 キーワードは「グレシャムの法則」、挽き肉の話を金貨の鋳造になぞらえるところから、考えてみようというわけです。

もしかして文部科学大臣認定「創意工夫功労者賞」?

 それにしても大した技術だと思いませんか?

 ミートホープの田中社長は裸一貫から起こして、1代にして築き上げたといいます。言ってみれば「べンチャーの星」です。

 「鴨肉は色がちょうどいいので、豚と混ぜても牛と混ぜてもイケる」

 なるほど。確かに冬場にお目にかかる鴨のピンク色は、豚とも牛とも仲が良さそうです。

 「中国産の鴨の安いのがたくさん入ってくる」

 ミートホープの問題は本質的に国境も越えているわけです。

 「豚の心臓や牛の血液で着色すれば色も匂いも絶対に分からない」

 そりゃそうでしょう。挽肉を購入する一般消費者の大半は主婦。プロが丹精こめて偽装すれば、分かるわけありません。

 報道されているように、ミートホープは「挽き肉の赤身と脂身とを一様に混ぜ合わせる攪拌機」の独自技術を誇っています。なんと文部科学大臣「創意工夫功労者賞」なども受けている。

 自らの基幹競争力、コアコンピタンスを持って急成長を遂げたという点でも、ミートホープはまさにべンチャーの典型と言ってよい。絶対に誤解しない方がよいと思うのですが、この拡販技術自体は、間違いなく優れたもの(だったはず)です。

 さて、ちょっと考えてみてください。いま混ぜ込まれた羊や鴨肉に、衛生的に問題があったりしたら、それは別種の犯罪になります。でもここではそういう問題はなさそうです。安価な原料肉各種を、鮮度や味を損なわずによく攪拌している。

 問題は「偽装」です。この技術自体は、本当は今後も生かしてもらいたい技術のはず。「テクノロジーはインタクト(無傷)」、いろいろな事故が問題になるとき、MOT(技術経営)の分野で、よく語られる話です。

 では改めて、ミートホープは、何が決定的にダメだったのか。ミスの正体を見極めて、今後に役立てる「失敗学」の観点で、偽装牛挽き肉問題を考察してみましょう。

 ハッキリしているのは「虚偽表示」です。「牛肉である」という偽装が詐欺罪に当たります。DNA鑑定の結果、牛0%の「牛肉」もあった。

 でも詐欺とはいえ、DNA鑑定まで持っていかなければ、誰も肉眼では決して牛肉でないと見破ることができなかったというのは大変な技術です。こういう技術力の関わる問題は、実はCSRと非常に本質的に結びついていて、単に「悪質だ」と決めつけて思考停止するのはもったいありません。

 ことは、精巧な挽き肉攪拌機を作ることができる技術を手にした者が、法による規制で縛られるのではなく、業界標準を自分たちで打ち出していけるかどうかが問われているわけです。

肉のブレンドは当たり前、問題は情報操作

 私事で恐縮ですが、私は中学、高校時代「地学部」というクラブに所属していました。地図とハンマーを持って千葉県に地質調査に出かけるのですが(巡検、と言います)、大して科学的なことは分かっておらず、私自身はむしろハイキングとして楽しんでいました。

コメント2

「伊東 乾の「常識の源流探訪」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

プロフェッショナルとして、勝負どころで安易に妥協するなら仕事をする意味がない。

手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト