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定石は覚えて忘れろ 
モンゴル人留学生に学んだ共感を売る時代

英治出版社長・原田英治の場合(最終回)

  • 佐野 真

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2007年7月6日(金)

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 常識や固定観念に縛られない自由な発想は、ビジネスで成功するために重要な要素だ。マニュアル通りに仕事を進めれば、負けは少なくなるかもしれないが、大きな勝ちが転がり込んでくることも少ない。この常識やマニュアルを、囲碁の世界では「定石」と言う。この言葉は既に一般用語になり、多くの人々が様々な場面で用いている。

 「定石は覚えて忘れろ」という囲碁の格言がある。

 定石は、物事の基本を知るという点では大事だが、一度基本を覚えたら、それに縛られることなく、自由な発想で碁を打つことが重要、といった意味だ。初心者のうちは定石が碁を上達させるうえで基本的にプラスに働くが、かといって定石に縛られると、自由な発想を失ってしまうマイナスもある。ある程度の技量が身についたら、定石をあえて忘れることがさらなる成長につながる。

 英治出版社長の原田英治は、「定石を覚えて忘れろ」を出版社経営で実践する。前回紹介したように、出版業界の常識を打ち破り、本の著者だけでなく、デザイナーなどにも印税を支払うことでモチベーションを喚起するというアイデアはその1つだろう。(前回の記事はこちら

夢はあっても資金がない

 創業から2年ほどは鳴かず飛ばずで、倒産寸前まで追い詰められた英治出版。原田の人間性にひかれて優秀な人材が集まり、10万部を超えるベストセラー『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』で息を吹き返したものの、その後の道のりは決して平坦ではなかった。

東京都杉並区立和田中学校の藤原和博校長。原田社長の活動を応援する1人だ (写真:乾 芳江)

 著書の出版を契機に知り合い、原田の活動を応援している人物に杉並区立和田中学校校長の藤原和博がいる。リクルート出身で、出版のプロでもある藤原は英治出版についてこう話す。

 「有名作家との特別なコネがあるわけでもなく、雑誌を持っていて、その連載をまとめているわけでもなく、かつ特殊な領域の専門書を扱っているわけでもない。いわば“単発の一般書”を扱っている中堅出版社でありながら食えている。出版不況の中で、これはもう奇跡に近いと思います。普通は、経営自体が成り立たないはずなんですよ」

 恐らく、原田が“出版業界の常識”に縛られていたら、藤原が指摘するように英治出版を現在のような軌道に乗せることはできなかったに違いない。では、さらなる成長のために原田が仕掛けた“非常識”とは何か。

 例えば、「ブックファンド」という出版形態である。書籍を出版する元手基金として出資者から資金を集め、売り上げに応じた配当を出資者に支払う。連載第1回でも、原田が非常識を常識に変えた例として簡単に紹介したが、この取り組みは出版業界としては、決して“定石”ではない(第1回の記事はこちら)。IT(情報技術)コンサルタント出身で出版の素人だった原田だからこそ、既成概念を捨て、新しい定石として加えることができた。

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