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働く女性のもうひとつの荷物

  • 遥 洋子

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2007年7月13日(金)

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 40億円プロジェクトの松任谷由実の『シャングリラIII』を観た。総合演出・構成は夫である松任谷正隆だ。満席の熱気の横浜アリーナで、華麗なステージが繰り広げられた。ユーミンの歌はもちろん、中央で繰り広げられるサーカスや、シンクロナイズドスイミング。どこをとっても素晴らしいキラキラ輝くシーンを堪能した。

 しかし私は、その数日前に見たメイキング番組でのユーミンと正隆氏のやりとりが耳から消えないでいた。ユーミンがサーカスに合流し、そこで歌を唄うという荒技をやってみせるリハーサル中のことだった。苦戦するユーミンに正隆氏は苛立って見えた。

 「こんなんじゃ、企画を一からやりなおす」といったことを氏は皆に言い放った。
おそらく誰が見ても氏の“ぶち切れた”ひと言だった。

 画面を通しても、気まずい空気が流れ、場が凍てついたようになった。
しばらくしてユーミンは「まだ数回しか挑戦していなくて、もうそんな判断下すわけ?」といったことを静かに夫に言った。簡単にできるものかどうか、「やってみな」と軽くいなした。

 そのユーミンの言葉でようやくほんの少し空気が柔かくなった。

 私はそこに、多くの働く有能な女性が抱え持つ苦悩のようなものの片鱗を、日本を代表するアーティストの女性にも見た気がした。

 別に、どっちが切れたっていいのだ。夫が「もうやめ!」と切れようが、妻が「やってらんない!」と切れようが。

 しかし、松任谷夫妻の場合は、切れたのは夫であり、妻はなだめる側だったということ。そして、本当に「一から企画を考えねば・・・」と思ったのなら、やり方はほかにいくらでもあるということ。声高に放言せずとも、ユーミンに近づき、耳元で「どーする?やっぱ無理か?」と問う方法だってある。あるいは、休憩を入れて、関係者と相談する方法だってある。

 皆の前で声を荒げるということは、その目的は絞られてくる。全体的に緩んだ空気にカツを入れるという意図的なものでない限り、それは、“腹が立ったからユーミンに当たった”という理解に私はもっとも合点がいった。

 もしこれが他の演出家や構成者だったら、皆の前でユーミン本人に「お前、ダメ!」とは当たれないだろう。それを公言できたのは、氏が夫だったことに他ならない。

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