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不完全のススメ

うつになる男性と仕事をやめる女性

  • 遥 洋子

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2007年8月10日(金)

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 “うつになる男性”と“仕事をやめる女性”は、実は一本の線で繋がっている。

 最近、知人男性がうつ病で職場から撤退した。私はその男性を学生時代から知っているが、当時から暴れん坊で突っ張ってもいた。“男気”のようなものが魅力的なタイプだったが、企業での上司によるパワーハラスメントが原因でうつ症状が出た。もはやめまいで立つことも出来ず、病院に駆け込み病名を聞かされた時はショックだったという。

 また最近、私に「働く女性が仕事をやめないような話を」という講演依頼が増えた。企業で女性登用が実践されると同時に企業側から出た悩みだ。「女性も男性並みに仕事をというからチャンスを与えたのに、結局、やめていくじゃないか」と途方に暮れている管理職の姿が目に浮かぶ。女性登用が結果として女性不信を招いている。

女性が歩む“きつい坂道”

 「乗った馬から降りるな」は、女性登用を推進する立場からの女性社員に向けての言葉だ。つまり総合職で出世コースを選んだなら、何があってもそこから降りるな、ということだ。

 女性が思わず降りたくなるきつい坂道は、結婚・出産・育児・介護と人生のそこかしこに待ち受ける。おそらく当初、女性たちは本心から野心を持って仕事に挑んだに違いない。しかし、人生の急な上り坂に差し向かうと「この子にとっての母は私しかいない」とか「妻として」とかいう感傷が、迷いのなかったはずの野心に揺さぶりをかける。

 馬から降りるのではない。揺さぶられて馬から落ちるのだ。その揺さぶりたるや、“強い意思”なんかでは太刀打ちできないほど物理的なものだ。残業と保育園の迎えの時間が揺さぶりをかける。朝の会議と予期せぬ子供の発熱が揺さぶる。

 だから揺さぶられる要素を人生で持たない独身女性がずっと手綱を握り続けられるということになる。

 結局、どれほど時代が変わろうが、女性にとっては仕事か結婚かという選択が、正解がなかなか出ないクイズ・ミリオネアのようにいつも立ちはだかる。

「乗った馬から降りるな」という意識啓発はあくまで女性個人に働きかけるスローガンだ。

 だが彼女たちを取り巻く環境が彼女たちを馬から落とすのだとしたら、環境ごと変えねばならない。キャリアアップと同時によき母にもなろうと思うから馬から落ちる。キャリアアップを望んだ時に、「よき母であること」を捨てた女性が馬に乗り続けられるのだ。つまり、「保育園になんか行ってられない」「熱を出したって病院になんか連れていけない」母親を許す環境だ。

 育児放棄ではなく、共働きならベビーシッターを雇うことで揺さぶりは沈静化するはずだが、仕事をやめる女性が少なくない現実を見ると、そういう解決法を阻止しているものがあるのも浮かび上がる。

 それは夫でも姑でもなく、女性自身にある。いくら家族が「それで母親か」と責めたてたところで、選択するのは女性自身なのだから。

 まずは誰よりも最初に「不完全を許す」自分を作らないと、その選択が生涯付きまとう。

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