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CSR解体新書(7)なぜルクセンブルクなのか

独仏に挟まれた小国の偉大な役割

2007年8月20日(月)

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 「国際的なCSRの評価項目で一番高い平和、芸術、教育、文化。このあたり日本はさっぱり手がついてないんですよ。どう考えればよいか、日本企業としては分かりにくいし、平和って言っても一企業の立場ではねぇ…。このあたり何とかなりませんか?」

 某トップメーカーのCSR責任者からこんなご相談を頂いたのは2005年春先でした。私はちょうど、ヒロシマ60年目の当日に東京芸術大学奏楽堂、ナガサキ60年目の日に東京大学安田講堂で、おのおの政治ではなく学術(学問芸術)セクターからその意味を考え、未来につなげていくシンポジウム・レクチャーコンサートを準備していました。

 CSR(企業の社会的責任)というと、まずもって「環境対策だ」ということになる。それに続いてコンプライアンス関連。

 一方、国際的に目を転じると、芸術文化、教育などへの貢献が圧倒的に高く評価されている。日本でもいろいろやってみるのだが、どうにも後追いの感は否めず、はっきりいってパッとしない。国際的オピニオンリーダーというより、せいぜいキャッチアップどまりになってしまう…。

 私自身は「芸術・文化・教育」が守備範囲の大学教員です。それが情報システムや技術経営の観点から戦略策定や評価などの仕事で企業とご一緒していた、そこに「日本が世界に先駆けて発信するCSRの、原論からアクションプランまで、考えることはできないかというご相談を受けたわけです。

 「分かりました。できると思います、やってみましょう」
 すぐさまそうお答えしました。

 昔から「これは難問」と言われると、「ではそれに正面から答えましょう」と言わずにはいられないのが私の損な性分です。

 しかし、現象として立ち現れる多様なCSRの評価尺を、一貫整合した観点から把握して、戦略的有効性を検討できる足がかりを作る原論が作れれば、学術セクターに身を置く立場として、意味ある貢献になるだろうことは予測が立ちました。

 かつて「企業の社会的責任」「企業メセナ」(文化支援に対する税制優遇措置などの手法が取られました)「フィランソロピー」などのキーワードで、企業の社会還元は幾度も議論の俎上に上ってきました。

 そういう経緯がある以上、21世紀のCSRブームに対しても、各日本企業は、まずもって前例を参考にするしかありません。それを基に計画を立て、あるいはCSR報告書を作るなどすれば、とりあえず「わが社はこういう取り組みもしています」という具体例は示すことはできる。

 ところが「環境」と「芸術や教育」に共通する「哲学」があるか、と問われると、そういうものは前例の中には一切存在していない。あるCSRの平易な入門書には「欧米の企業では経営の哲学が重視されます」という解説がついていました。だから哲学もくっついていると良いですね、という論旨です。

 各社ですぐに実行できそうな手順に添えて、関連しそうな「背景となりそうな考え方」や「歴史」などが、コンパクトに書かれていて、とても理解しやすく編集されていました。ただ、前例に基づく「施策例」が「まずありき」であれば、そのアクションプランと有機的な関連を持たない歴史や哲学は、空文化の危険性が高い。これは否み難いところです。

 なぜCSRなのか。その必然性はどこにあるのか。なんらかの戦略性があるからCSRへのキャンペーンが仕掛けられているのです。その本当の狙いと思われるものを縦横に考察したうえで施策を立案しなければ、単に「バスに乗り遅れるな」という横並びのCSRに終始して、国際的なイニシアティヴを取ることは絶対にできません。

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