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CSR解体新書(8)格差は教育で生まれる

似た環境でも1人当たりGDPは日本の2.6倍の理由とは?

  • 伊東 乾

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2007年8月27日(月)

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 世界で最も国民1人当たりGDP(国内総生産)の高い国はどこかご存じですか?

 答えはルクセンブルクで、なんと日本の2.6倍に相当します。例えて言うなら、ルクセンブルクではお父さん1人で、日本の夫婦共稼ぎ程度の収入が得られ、なおかつお母さんは家で趣味や子育てに自由な時間を持つことができる。世界で最も豊かな市民は、ここの有産層だと言えるでしょう。

 前回、ルクセンブルク興隆の陰に戦争あり、という話を書きました。戦争の惨劇と失敗経験は現在の経済繁栄の大きな背景になっています。でも戦争の悲惨で言えば日本だって十分大変な目に遭っているはずです。日本と、何が違うのでしょう。あるいは、何か共通するものがあるかもしれません。もしも共通項があるとすれば、それは何なのか…。

 2007年現在、世界遺産のルクセンブルク旧市街と谷を挟んだ向かい側のキルシュベルク地区には、急ピッチで「ヨーロッパ中央」(サントル・ユーロピエン)地区の造成が進められています。

 風光明媚で緑豊かな古都の景観。そこからたった数キロ先に、景観を損なわないように留意しながら、超近代的な欧州の政治中心が現在進行形で建設されている。自然と歴史と超近代都市とが、ほとんど踵を接して調和している、その風景が奇跡のように見えて、私は大変瞠目させられました。

 古都と超近代都市が自然の中で共生する町ルクセンブルク。風景を眺めるうち「これはどこかで見た風景と似ている!」という気がし始めたのです。しばらく考えて、ハッと思いつきました。京都です。 

 宝ヶ池にある国立京都国際会館あたりの風景と酷似している気がしたのです。EU(欧州連合)など欧州が主導して地球環境を議論する時、京都という都市が象徴的に語られる1つの背景が理解できたような気がしました。

 実際、自然環境と歴史と伝統、そして超近代的なテクノロジーの調和を考える時、欧州が奈良や京都など、20世紀日本の古都都市設計をお手本、あるいは参考にしているという話は聞いたことがありました。

 ルクセンブルクの古都は、古いといっても高々16~17世紀、大半は19世紀の石造りの建物や橋で、その歴史は高々300年程度に過ぎません。

 翻って京都は、応仁の乱以後でも540年、開闢以来なら1200年の歴史を持ち、多くの歴史的建造物と緑が調和する景観を保ちながら、日本の誇る先端テクノロジーを駆使した都市計画が着実に推進されている。そういうイメージをもって、欧米人には受けとめられているのだったよなぁ…。

 そこで英国人建築家の友人にメールで尋ねてみました。果たして、予想以上の反応がありました。

 日本人の私は、京都という町に古都のイメージが強いわけですが、海外の視線は古都に加えて、確かに自然そしてトヨタ自動車やマツダ、ソニー、パナソニック(松下電器産業)の企業名とともに、先端科学技術と超近代建築が共存する「21世紀・世界の都市のお手本」としての京都像を持っているというのです。

 確かに、京都を観光旅行して、何気なしに写真を撮れば、伝統だけではなくて、21世紀の文物も、何もかも全部写りこみます。

 私自身が、そういうものを意識しないうちに捨象してしまって、ただただ観光絵葉書的な京都像に強く縛りつけられていたのだと、改めて思いました。むしろ多くの海外の視線は、先入観なしに現状を正確に認識して、新たな都市設計の参考にしているというのです。

 例えば、里山のような概念は西欧にはありません。古代以来、欧州の都市はあくまで「恐るべき自然」に対抗すべき人工物だった。環境との共生を考えるうえで、1000年にわたって「サステナブル」持続可能な日本の古都は、いながらにして最も雄弁な証拠になっている。

 できるだけ「あるがまま」の自然環境や古くからの風致も残しながら、そこに新しい要素を取り込んでゆく。日本の「古都保存法」的な流儀も考慮しながら、新しい先進国の都市が構想されているというのです。

 新しい「ヨーロッパ中央」を2007年の時点で急ピッチ造成しているルクセンブルク。現実のルクセンブルクの都市計画が、日本のケースを参考にしているかどうかは確かめられませんでしたが、21世紀、環境との調和を重視する都市計画の観点は、確かに点と線で繋がるものがあるように思われました。

コメント5件コメント/レビュー

人口46万人だとシンガポール的に相互監視が可能で、組織犯罪・スラムによる負担をまぬかれる規模です。 アマチュア無線(ハム)の世界で雑魚といえる国が基本的に豊かな国ですが、ベネルクスのベルギー・オランダは雑魚ですが、ルクセンブルクは雑魚ではないので豊かという印象はありませんでした。人口がすくないからハム自体がすくなかったせいでしょうね。ちなみに北朝鮮はノーハム・カントリーです。(2007/09/10)

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いただいたコメント

人口46万人だとシンガポール的に相互監視が可能で、組織犯罪・スラムによる負担をまぬかれる規模です。 アマチュア無線(ハム)の世界で雑魚といえる国が基本的に豊かな国ですが、ベネルクスのベルギー・オランダは雑魚ですが、ルクセンブルクは雑魚ではないので豊かという印象はありませんでした。人口がすくないからハム自体がすくなかったせいでしょうね。ちなみに北朝鮮はノーハム・カントリーです。(2007/09/10)

何を伝えたいのか、残念ながらあまりよく分かりませんでした。しかし、広範囲な情報、とりわけ欧州人からの京都に対する視点は興味深い着目でした。できたら、格差はなぜ教育で生まれると思われたかの分析を書いて頂けると嬉しいです。少人数教育方式を行うだけで一人当たりのGDPが世界一になるとは思えません。(2007/09/03)

文意が散漫な気がするが、賛成したい。ルクセンブルクには地理的条件から本当に持って逃げられる財産は教育だけという、覚悟があるのではないか。PS悲しいことに、絵葉書的景観を保全する条例が京都で制定されました。(2007/08/30)

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