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CSR解体新書(9)身近にある文化貢献

日本の地方ベンチャーが世界をうならす

2007年9月4日(火)

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 地方発のベンチャー技術が、国際的な文化貢献の主役になるケースが、実は私の身の回りにもたくさんあります。今回は少し、私自身の研究室に関連する話題をご紹介してみたいと思います。特段「いざ、CSRだ!」と力瘤を入れなくても、ちょっと観点を変えるだけで日本の技術が世界に生きる。そんなケースが意外なところに転がっているのです。

 毎年8月末から9月にかけて、私はスイスの都市ルツェルンに滞在することにしています。ここで開かれるブーレーズ・アカデミーというサマースクールで、オーケストラの指揮法に関する基礎研究のデータテイキングをさせて貰っているのです。

 その現場では、実は様々な日本製の技術が大活躍しています。しかも、それらの多くは、日本といっても首都圏ではなく、地方発で、世界に向けて発信された独自の技術なのです。

宮崎県のベンチャーが世界相手に大活躍

 宮崎市内に本社を置くエル・エー・ビーは、コンピューターによる画像処理技術、とりわけ「モーションキャプチャー」で果敢に世界に挑戦しているベンチャー企業です。同社は世界的にもユニークな「マーカーレス・モーションキャプチャーリング」のシステムを開発しています。

 モーションキャプチャーとは、人間や動物の動きをコンピューター内に情報として取り込む技術です。今、あなたの会社が突然、コンピューターゲームやアニメーション映画を作ることになったと思ってください。

 そこで原価計算を考えてみたいのです。しばらく前まで、アニメーション業界では、膨大な量の「セル画」を手で描いていました。テレビ漫画の場合、多くのケースでは経費節減のために、同じ絵が3コマ連続したり、あらかじめ作られた部品が平行移動、回転することで、多くの番組が作られました。

 初期のテレビゲームも、これと似たようなキャラクターの「平行移動」で画面ができています。少し年配の方でしたら、ブロック崩しやインベーダーゲームのUFOを想起してみてください。

 ああいう格好で少ない情報量を使い回して経費節減していた、そんなイメージです。それにしても、ブロック崩しとかテニスとか、今思い出すと、「テレビゲーム」の初期は、なんとものどかだったものです。

 2007年時点でのゲームやアニメは大変に込み入っていて、ゲームをしない私は全くそれらに疎いのですが、日本は世界に冠たるコンテンツ大国、こうした産業を支える基礎技術は、内外に大いに需要が存在しています。

 従来、モーションキャプチャーを行うには、人間が特別製のスーツを着たり、肩や腕などに「マーカー」と呼ばれる「しるし」をつけて運動して、それをカメラで収録して画像解析する必要がありました。

 イメージとしては、蛍光塗料の塗られたピンポン玉みたいなものを全身の関節にくっつけて、それでカンフーの型などを演じて、複数のカメラで同時に収録する、そんな感じです。

 それをコンピューターの中で処理して合成すると、画面の中で人形が同じ動作をする。あとはそれを「ホネ」にして、肉づけすれば、アニメーションやゲームのキャラクターがそうした動きを演じるという次第。そういう手順を踏めば、もともと人間の動きだったもので、ドラえもんやのび太くんが生き生きと運動することができます。

人間の動きを撮影してコンピューター上に取り込む「モーションキャプチャー」技術(エル・エー・ビー提供)

人間の動きを撮影してコンピューター上に取り込む「モーションキャプチャー」技術(エル・エー・ビー提供)

高度な音楽演奏を何とかまるごとコンピューターに取り込めないだろうか?

高度な音楽演奏を何とかまるごとコンピューターに取り込めないだろうか?(写真の演奏は、K.シュトックハウゼン「3群のオーケストラのための<グルッペン>」第2グループ:ペーター・エトヴェーシュ指揮)

ジョブズ氏が私財60億円を投じたアニメ映画

 初期のデジタルアニメーションでは、すべての動きをコンピューターの中で一から作り出していました。聞くところでは、ディズニーアニメ「トイストーリー」の1本目(1995年)は、そういう手順を踏んで作られたそうです。

 世界発のセル画(透明のシートフィルムに手描きされる絵)の一切ない、長編コンピューターグラフィックス(CG)アニメーションの誕生です。これには膨大な時間と手間、そして経費が必要になります。

 一説では、当時トイストーリーを制作したピクサー・アニメーション・スタジオの会長兼CEO(最高経営責任者)を務めていたスティーブ・ジョブズ氏が私財を投じ、4年間で5000万ドル、60億円ほども投入したとか。このあたりは米国の先駆者たるゆえんでしょう。

 膨大な制作費をかけて世界に先駆けて長編フルCGアニメーション映画を作り上げ、その話題性で当該年度トップの3億6200万ドル、420億円ほどの興行収入を上げています。

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