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「ワガママで、組織の論理をねじ伏せる」

  • 渡辺 由美子

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2007年9月26日(水)

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高橋 今の新作「ボトムズ(ペールゼン・ファイルズ)」はサンライズ本社ではなく、インタラクティブというゲーム部門を手がけている系列会社で制作しているんですよ。そのインタラクティブの塚田君が「ボトムズ」をどうしてもやりたいと言ってきた。

「現場監督」 高橋良輔氏

「現場監督」 高橋良輔氏 (写真:大槻 純一、以下同)

 最初はできる状態じゃなかったですよ。「ボトムズ」はサンライズの本社で作っていて、サンライズの財産と言われているのに、何でそっちの会社に、と。(インタラクティブにはアニメの)映像の制作体制も何もないじゃないか、というところがあったんです。

―― サンライズ本社ではなく、系列会社で作りたいと。それはちょっと難航しそうですよね。塚田さん、ちょっと事情を聞かせてください。

インタラクティブ・塚田 インタラクティブの社内には、以前からゲーム以外の仕事もしていきたいよね、という声がありました。それで僕の方にも、映像も作っていきたいという思いがあったんですよ。

 でもそれをやるには、一発目からオリジナル作品、というのではリスクが大きいですよね。それで、サンライズのコンテンツでこれをやれば当たるよねというタイトルを指で折っていって、そこにはまったのが「ボトムズ」だった。サンライズで言えば「ガンダム」と「ボトムズ」は一応双璧ですから、「ボトムズ」をやりたい、やりたいと3年ぐらい前から、ずっと言っていたんです。

―― 3年前からですか。

塚田 はい。うちでも映像をやりたいですという話をずっとしていたんです。社内の役員会で。でも「ここはそういう会社じゃないから」と返されていたんです。それでも念仏のように唱え続けていたら、ある時、急に役員会で「そうなの、やりたいの?」と。こちらもそう言われて「あれ? そう言っていませんでしたっけ、3年間」って(笑)。

 それで「やる」という話に急になって、じゃあ監督とお話をして、ということで。

高橋 これはやっぱり、言った人が熱があるからなんですよ。しつこさも含めて。

 僕としても、やりたいという人がいた時に……言ってみれば、そこには僕の好きな“遊撃隊のロマン”というものがあったんですね。

―― 遊撃隊のロマン?

高橋 「大きな組織の中に少数精鋭部隊を作って頑張る」という。

実は「もうボトムズはやり尽くした」と感じていた

―― そう言えば監督の作品には、小規模な特殊部隊が活躍するものがたくさんありますね。

高橋 やりたい人がいて、その熱を見て、僕自身もそろそろやってもいいよねというふうに、気持ちが変わってきたんです。

 僕は、「ボトムズ」に関しては、もうやり尽くした感があったんです。僕は「新しいこと」が好きで、アニメにはいつも新しいことを入れたいと思っているんだけど、「ボトムズ」に関してはもうその要素はないと思っていたんです。だから最初は気が乗らなかった。でも新しいことの1つに、3Dを取り入れるというのがあったんですね。

 今回も「ボトムズ」を好きな人ほど「手描きでやってほしい」と言う意見が強かった。でも僕は3Dでやってみたい。結果が良くなければその人たちを裏切ることになるんだけど。でも、僕は3Dの可能性みたいなものと「ボトムズ」という作品が、どこかで繋がるんじゃないかなという気がしたんですね。

 それで僕からも、サンライズに「ボトムズをインタラクティブでやらしてよ」と言うと、サンライズの制作のトップの内田さんや富岡さんとかも、僕との長年の関係があるから、「しょうがねえな、最後のワガママだろうから言うこと聞くか」って。

 やりたいことをやるためには、あまり論理的じゃないほうがいいんです。はたから見たらまるでワガママのように、「どうしても、3Dでやってみたいんだ」みたいに言うほうが通る。論理的にやるとかえって反発されることもありますからね。

―― そうなんですか? 会社というのはこう……理屈が通っていないと、やりたいことが通らないような気がしますが。

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