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仕事に集中する3つの条件

2007年9月28日(金)

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 私は最近、原稿用紙450枚の書き下ろしを書き上げた。所要期間は2週間。計算すると一日約30枚の執筆ということになるが、一日60枚書くこともあれば、20枚を切ることもあった。

 その2週間は、執筆に集中するために日程を可能な限り空けた。ただひたすらに寝ても起きても原稿のことだけを考えて生きられるよう自分なりに工夫した。いかに、自分のやり遂げたい仕事に集中するかを極めていくと、私はいくつかの発見をした。ここでぜひご報告したい。

 まず最初に痛感したのは、たかだか2週間を、人の付き合いや雑務などを避けて、1つの仕事に集中することが無理である、ということ。その間、仕事は断われても、お世話になった方の「還暦祝いパーティ」とか、「個展初日パーティ」とか、「今日という記念の食事会」とかがある。実は、仕事より人の付き合いは格段に断われないということを体験した。仕事は「また今度」があっても、記念日は生涯その日だけだ。

 招き招かれるお互い様の良き儀礼が、仕事に集中したい時には挫折を招いた。他に雑用もあったが、たかだか1つの雑用をこなすたった1時間が、実は、1日のほぼ半分を略奪してしまった。

 身支度から移動時間までを計算に入れると、1時間の用事は4時間を奪う。4時間といったところで帰ったら服も着替えるし鞄の中身も整理する。疲れたらお茶の一杯も飲む。玄関のドアを開けるなりペンを握るというわけには物理的に無理なのだ。だから、日中の半日であれ、夜の半日であれ、この1時間の用事が4つあるだけでまる2日の仕事時間が潰れるという計算になる。私は2週間も空けながら、執筆がうまくいかない、というのではなく、執筆する時間が取れない、ということに体の奥深くから焦り出した。

 発見その1は、仕事に集中したければ、雑用を侮るな、だ。

 焦った私は、無意識に、極力自分の生活時間を切り詰めた。まず睡眠が1日3時間になった。風呂は湯船にお湯が溜まるまでの時間を計ると10分だったので、その10分を湯船の中で溜まるまで浸かって待つことにした。風呂上りの3分のフェイスマッサージもやめ、ボディクリームを塗る時間もやめた。これは1分だろうか。

 それらは意識的にではなく、そうしないといてもたってもいられない焦りがそうさせるのだった。やがてようやく、まる1日を執筆にまわせはじめた。15時間ほど書くと60枚の原稿が書けた。

 その時に自分の体力に向き合うことになる。15時間をデスクに向かうということは、ずっと体を固定したまま動かさないので、そんな日が続くと、昔、風呂に入るための脚力すら失った経験がある私は、1分を惜しみながらも、体力維持のために1日30分を走った。そうやって執筆に集中するほどに、今度は食事とか風呂とかの生命維持の時間が惜しくなった。

 1日に必要最低条件の生命維持に使う時間を計ったら、ジョギングも入れて3時間だった。どうしても人が生きていくのには1日3時間が必要なのだ。私は、何を何時にどれ程食べたら最も時間効率がよく、また、翌日は何グラム体重変動があるかなど、細かいレベルにまで極められるようになった。その頃は一日中、誰とも喋らず、新聞もテレビも見ず、郵便物も見ず、ただ執筆した。

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「仕事に集中する3つの条件」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師