(Part1へ)
職業としての「社長」を自ら選び、活躍している人をお招きし、将来、経営層を目指す人々に、ご自身の経験を語って頂くトークセッション「Road to CEO」。今回は、企業の書類や記録を預かって管理する情報マネジメントに特化したワンビシアーカイブズの社長、星川恭治氏をゲストに迎えた。

ソニーのM&Aや海外事業を支えたのち、外資系企業のトップを経て、現在ワンビシアーカイブズの社長を務める星川恭治氏。今回は、財務の専門家を自認していた星川氏が犯した大失敗と、そこから得た教訓を語る。
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司会、山中(以下Y) お戻りになったのが1983年ですね。浦島太郎という感覚はなかったですか。
星川 そのときは会社の方針もしっかりしていまして、初めてソニーで、「経理だけではだめだ。お金のことも勉強させなくちゃいけない」というので、銀行出身の役員を招聘してつくられたばかりだった財務部へ送り込まれた。もうソニーなんて辞めようかと思うぐらいしごかれて、でも、ここで辞めると、「だから工場経験者はだめだ」なんて後輩の道を閉ざすことになりそうだったので、1年ぐらい食らいついていった。
その1年間は、我が生涯で何回かに1回の猛勉強の時期でしたね。実際やってみると、経理の世界と財務の世界はまったく違う世界で、財務の力を身に付けることに燃えていました。
Y 当時の肩書きを拝見すると、海外資金課長、国内資金課長、財務企画課長といっぱい並んでいます。これは要するに、ソニーの財務のほとんど全部にタッチしていたと。
比較的新しい部でしたから、当時の取締役財務部長がメーカーにおける財務部の役割とはということでいろいろなことを試行錯誤でやっていたんです。私と一緒にいた人と交互に、すべて経験させるということで(部署を)回されたこともあります。それともう1つ、1980年代後半というのは、ソニーが戦略の真ん中にM&Aを据えていましたので、そうすると必ず財務から誰か行かなくちゃいけなくて、そういったことを可能にするための組織変更もありました。
Y そのころのソニー社史を読みますと、岩間(和夫)社長が1982年に亡くなられて、大賀(典雄)さんが社長に就かれて、予算統制という考え方を初めて強力に打ち出したという話が書かれています。その背景には、M&Aをやって、財務も企業戦略の1つとしてしっかりつくっていかなくてはいけないという思いがあったのでは。
専門家ではなく経営者としての判断が求められた
後から見たらすっきりした筋書きですけれど、そこまできれいではなかったと思いますね。実際にはかなりそのとき一番重要と思われることを実行してきたのだと思いますよ。
Y しかし、それが伏線に見えてしまうくらい、ソニーは巨大M&Aに超積極的に乗り出していきました。1988年1月にCBSの買収、これは約20億ドル。翌年にコロンビア映画を約50億ドル。ものすごい金額を動かされるわけですけど、星川さんはそれをまさに当事者の立場で見ていらした。
はい。4人でチームを組みまして。コーポレートプランニングの人と法務部の人と私と、もう1人スタッフが付いていました。デューデリジェンスをやるときには経理財務の知識を使って現地の人と一緒にやるんです。最終的には買収資金のファイナンスが重要です。短期資金で取っておいて途中で中長期につなぐとか、そういう買収資金の調達をやっていました。
実は、M&Aをやっていたときに1つ大失敗をしているんです。これが私が専門家、つまりファンクションヘッドからジェネラリストに移っていくきっかけになったと思うんです。
Y どんな失敗でしょう。
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