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改革の裏にある「石橋を叩く」姿勢

~校長・荒瀬克己~

  • 茂木 健一郎

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2007年10月16日(火)

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 国公立大学への合格者が急増したことで、注目されている京都市立堀川高校の校長・荒瀬克己さんは、より広く人間というものに向き合っている教育者だと思った。

 基礎学力を付けることと、総合学習のような応用力を付けることは、普通は別のことだと言われている。しかし、本当は同じことで、探求をしないと学力を付けようというモチベーションは起きないし、逆に基礎学力がないと探求もできない。だから、本来はそれが一体のものとして発展していくのが、望ましい。荒瀬さんはそう言われていた。

 印象的だったのは、できるだけ早く生徒が「失敗するようなしかけ」を作っておいてあげるべきだということだった。人が成長するには、失敗することが大事で、ただ普通に進学校で受験勉強ばかりしていると失敗する機会が少ない。

 ストレートでよい学校へ入ってしまうような子でも、例えば学校の行事や会議などで、責任を持って運営するという立場になると、様々ことで失敗を経験する。それはまさに実社会の縮図のようなものだ。だから高校の時からそういう経験をさせてあげることが最大の教育だと言う。

 堀川高校はいろいろな改革をし、新しい試みをしているのだけれど、実際はどこかで事前に実施されて効果があると分かっていることばかりを取り入れている。荒瀬さんは、「石橋を叩いて渡る」とおっしゃっていたけれど、教育者というのは、特に学校単位ではもっとも慎重でなければならない。例えば、探求心を育てると学力も上がるといったことは、外国の例も含めて全部知られていることで、それをただ調査してまとめあげただけだとおっしゃっていた。

 つまり、できるかどうか分からない新しいことをやったわけではなく、「こうなればうまくいく」と予想できるようなことをやった。これだけ情報があふれているのに、どうやればうまくいくかという成功事例について、調査しないままに闇雲に新しいことをやったりしがちだけれど。実は堀川はそうではなかった。

 改革というのはいままでのやり方を否定するところから始まるのではない。今までの良かったところも冷静に見るということだ。過去を全否定するというのは科学的な態度ではない。全部が100パーセント悪いはずがない。

 荒瀬さんは自分のことを「保守的」だと言っていた。その“保守派”の人が改革をなしとげたところに、味わい深い意味があるのではないか。

 保守派というのは、つまり過去を全否定するわけではないし、新しいことにすぐに飛びつくのではなくて、「石橋を叩いて渡る」くらい慎重にいろんなことを調べて検討した結果、間違いのないところを採用したという、非常に保守的な態度を取った。その人こそが、いま問題になっている公立高校を再活性化するという改革の先頭に立ったというところが、非常に面白い。

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背伸びが人を育てる
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NHK総合テレビ
10月16日(火)午後10:00~10:45
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05~1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05~4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 2002年3月、全国の教育関係者が色めき立つ「事件」が起きた。前年度、国公立大の合格者がわずか6人だった公立高校が、この年一気に106人の合格者を出したのだ。高校の名は「京都市立堀川高等学校」。その後も毎年、100人を超える国公立大の合格者を出し続けている。学校改革が目に見える形で現れた事例として、全国の教育関係者の間では「堀川の奇跡」と語りぐさになっている。
 
 その「奇跡」の立役者は、校長・荒瀬克己(54)。「生徒は、自分の興味を見極められれば、ひとりでに学び出す」という考え方から始まった学校改革の大きな幹が、「探究基礎」とよばれる独自のカリキュラム。大学のゼミ方式のように、生徒自ら研究テーマを設定し、最終的には英語で論文作成までを行う。
 
 荒瀬はこの方式で、生徒全員のモチベーションをあげ、確かな目的を持った「大人」になるような全人的教育を志す。合格者の増加は、その一つの表れだ。それを可能にするのは、「やる気」を引き出す仕掛け作り。校長を中心に教頭はじめあらゆる教師が分け隔てなく議論し合い、いま、生徒に何が必要かを考える。生徒一人を学校全体で支える、それが荒瀬の学校だ。管理職も必見。やる気を引き出す「校長の流儀」に迫る。


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