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CSR解体新書(16)戦時経済はバブルの一亜種

米国の軍需による景気浮揚は「贋金作り」と変わらない

2007年11月5日(月)

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 回収の見込みの定かでない安易な融資を乱発すれば、通貨偽造と同様、確実にお金の信用を下落させる。先週、長い紙幅を使って準備したおかげで、現在喫緊の課題であるサブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題を考える理論的枠組みがすっかり整いました。

 誰もが「米ドル建てなら大丈夫だろう」と思っていたわけです。ところがその信用は「円天市場」ならざる「米国市場」内部から崩壊してしまった。

 オイル決済通貨としてのドルの地位もいまや危うい。先週「波打つバカの壁」の内外にいろいろな立場の「受益者」「被害者」がいると指摘しましたが、NBオンラインでも、今この原稿を編集部に入れたタイミングでアップロードされた本多秀俊さんの「Money Globe - from London」に、ちょうど対応する指摘がありました。

 米国の「借金」は、そっくりそのまま、米国以外の国々の「売掛金」として世界経済の見かけ上の活況を支えてきたわけです。実際は借金漬けのまま国全体として旺盛な消費を続けてきた米国は「円天生活、最高!」と喜んだ主婦を決して笑うことができないのです。

 実際、米クレジット市場は急激に拡大し、金アマリと資産運用上のモラルハザードによってあっけなく崩壊しつつある。その際「波打つバカの壁」をまたぐように「受益者」と「被害者」が双方に現れる。

 この時、ショックの吸収帯としてあてがわれていた円建ての経済や日本の株価が本体以上にダメージを受けるとしたら、冗談では済まない、乱暴に簡略化すれば、そういう構造が浮き彫りになると思います。

 さて今回の私のお話は、このところ続いた理論屋としての総論ではありません。自分で足を運んで見てきた、極めて特殊な米国の内部事情のご紹介です。やや極端な個別のケースを見ながら、泥沼化するイラク戦争と、サブプライムローン問題を含む「米下流社会」経済の、見えそうで見えない関係を考えてみたいと思うのです。

イラクに派遣される兵士を見送って

 2007年2月、私はNHKの依頼で、イラクやアフガニスタンに派遣される兵士の生活を取材するために米国ノースカロライナ州、フォートブラッグ基地に体験入隊しました。

 この時の模様はNHK・BS「地球特派員2007」でオンエアされています(「増派に揺れる基地」3月23日放送)。スタジオ解説で寺島実郎さんは「レームダック政権の悪あがき」と表現されました。

 さてブッシュ政権末期、米国内経済はどうなることやらと思っていたところ、噴出してきた問題の1つが「サブプライムローン」破綻だった。そこで今回は、日本から見ていると分かりにくい米国内の現実の、かなり極端な「住宅ローン」の例をご紹介してみたいと思ったわけです

 ノースカロライナに着いて、私たちはまず、これからまさにイラク・アフガンに派遣されるべく、基地内で飛行機を待つ兵士たちを取材しました。

出撃を待つ兵士たち。まずクウェートに飛び、そこからイラクとアフガンの二派に別れる。2007年2月11日、ノースカロライナ州フォートブラッグ基地にて。

 出撃を待つ兵士たち。まずクウェートに飛び、そこからイラクとアフガンの2派に別れる。2007年2月11日、ノースカロライナ州フォートブラッグ基地にて Photo: K. ITO

 2月11日、フォートブラッグから中東に飛んだ兵士は約350人、彼らは米陸軍最高の精鋭であるとともに、大半が「米国中下流社会」の出身者で、各人各様にキャリアアップのアメリカンドリームを胸に、軍に志願してきた若者です。分かりやすく言えば、米国職業軍人の出身家庭の多くは「サブプライム」と区分される社会階層にほかなりません。

 彼らがバグダッドやジャララバードに送られることで受け取る戦地手当ては(厳密な額は知りませんが)決して低いものではない。それを足がかりに彼らは生活のグレードアップへの危険な賭けをしている。というのも、この基地から派遣される兵士の3~5%は生きて再びこの地を踏むことがないからです。

 今回の350人で言えば15人内外が必ず命を落とすことが分かっている。そういう「契約」と「宣誓」をして、彼らは戦地に赴くのです。

コメント10件コメント/レビュー

前半のアメリカ為政者階級の下層階級搾取構造を説明する、(元)兵士たちのルポとしては面白かったですが、最後の方の、アメリカの外交として日本との搾取関係部分はもっと詳細に取り上げて欲しかったですし、今後に期待します。アメリカの貧しい階層が最前線に送られ、その生残りが恩給などで生活を立て街自体がそういった人たちの生活で成立しているところもあるが、そういう戦争特需による景気浮揚は出来損ないの政策でしかないと。で、この巨額な戦費に含め、これまでも貿易赤字を続けながらも、消費をじゃぶじゃぶ行い、住宅バブルが弾けサブプライム問題による損害についてもツケを払わされているのが、アメリカの中流以下層であり、日本であるわけですが、米国と日本との関係構図がどうなっているのか詳細に描いて欲しいということです。関岡氏の「奪われる日本」のようなヒステリックな糾弾ではなく、CSR、企業にいる人だけが意識すればいいのではなくて、日本人がアメリカという国とのこれまでの保護国もとい搾取国としてのあり方をしょうがないと考えるのか、そこはある程度ものを言い変えて行こうとするのか、これもコンスティチュエンシーの一人としてもっと話を活発にしていくためにも、日米の関係を詳細に説明するものが必要だと思います。(2007/11/06)

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いただいたコメント

前半のアメリカ為政者階級の下層階級搾取構造を説明する、(元)兵士たちのルポとしては面白かったですが、最後の方の、アメリカの外交として日本との搾取関係部分はもっと詳細に取り上げて欲しかったですし、今後に期待します。アメリカの貧しい階層が最前線に送られ、その生残りが恩給などで生活を立て街自体がそういった人たちの生活で成立しているところもあるが、そういう戦争特需による景気浮揚は出来損ないの政策でしかないと。で、この巨額な戦費に含め、これまでも貿易赤字を続けながらも、消費をじゃぶじゃぶ行い、住宅バブルが弾けサブプライム問題による損害についてもツケを払わされているのが、アメリカの中流以下層であり、日本であるわけですが、米国と日本との関係構図がどうなっているのか詳細に描いて欲しいということです。関岡氏の「奪われる日本」のようなヒステリックな糾弾ではなく、CSR、企業にいる人だけが意識すればいいのではなくて、日本人がアメリカという国とのこれまでの保護国もとい搾取国としてのあり方をしょうがないと考えるのか、そこはある程度ものを言い変えて行こうとするのか、これもコンスティチュエンシーの一人としてもっと話を活発にしていくためにも、日米の関係を詳細に説明するものが必要だと思います。(2007/11/06)

 2つ前のコラムあたりから予感はしていたのですが、筆者は「米ドルは円天だ」と言いたいのでしょうか?日本政府の借金が600兆円で為替操作でできた米ドルの外貨準備高が100兆円程度?ということは、一人で600万円のローンと100万円天の円天預金を持っているような話になります。円天ならば、円天市場が健在な間に円天で商品を買うでしょう。多少粗悪品でも、アフターケアが不十分でも、日本人に合っていなくても。どうして米国製品を買わないのですか?米国式経営を学ぶ人は多いのに。米国の大学は日本人の留学生が少ないことが問題になるほど優秀なのに。産学協同も盛んなのに。 日米の経常収支が逆転するほどに米国製品を輸入すれば、為替の逆操作が必要になって日本政府の借金も減り、米国兵士は日本向け輸出品を作る労働者に変わるでしょう。世界平和にも貢献できます。どうせツケを払うならば、アメリカ人の労働の成果を手にしたいです。結局、CSRとは米国製品を大量に流通させながら日本社会を維持することになりそうです。次回も期待しています。(2007/11/05)

実に悲しむべきことに軍事行動は無駄ではない。むしろ非常に大きな富を勝者にもたらし敗者からは全てを奪う。戦争は人間にとって原始時代以来の定番の、王道ともいえる経済活動だ。人間の社会は人間の身長くらいの高さから眺める限りは非常に洗練され信じがたいほどに行儀良くなったが、遥か高い位置から俯瞰すれば、生命の宿命である暴力による安全保障や富の獲得という構図は変わらない。今は斬り合いそのものよりも、達人同士が剣を抜いてにらみ合う中で殺戮の手前で勝敗がついているにすぎない。人間や人間の集団が生命である限りは、戦争から今後も逃れられる日は来ない。その宿命に絶望するか、命の躍動を見出すか、宿命そのものから目をそらすか、個々の人間に出来るのはそのいずれかだ。日本がアメリカのツケを払うとしても、そのつど実戦なき武力戦争に負けて賠償金を払っているに過ぎない。悔しいが、アメリカを非難しても何も良くはならない。アメリカが衰えれば他の国が同じことをするだけなのだから。(2007/11/05)

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