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自由主義の裏に潜む悲劇的構図

(CSR解体新書17)マンホールチルドレンはなぜ生まれたか

2007年11月13日(火)

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 先週の金曜、11月9日に鳩山邦夫法務大臣の勉強会で話をしてきました。

 今回の私のミッションは、團藤重光理論の骨子を2分間で説明するというものでした。ご興味の方は『反骨のコツ』(團藤・伊東編 朝日新書69)をご参照いただければ幸いです。

 法学の素人の私にはブラックボックスにならざるを得ないところが少なくありません。なかなか荷が重すぎますが、いったん依頼を受けた以上は責任を持たざるを得ません。

 また、法律については専門家が一緒に居られるので、餅は餅屋、ともに仕事させていただくことで、責を果たすようにしています。

 いわゆる「学識経験者」として、役所などに呼んでもらって話をする際、私のよりどころは作曲家、指揮者という音楽家の自分ではもちろんありません。大学教員としての立場、とりわけ脳機能測定など臨床技術も併用する認知情報科学の観点です。

 そちらの観点から、今回は「リスクヘッジの命綱が寡占の凶器にも転化し得る」というお話をしてみたいと思います。

「別解」としての情報理論

 経済や経済政策の問題を考えるうえでの私の基本的な立場は、既にお察しいただいていると思いますがイノベーション振興に重心を置くリベラルハト派、という割方穏当なものです。

 ただしそれらを、標準的な手筋ではない、別のルートから導出する、いわば「別解」で説明するのが、私の役回りになっています。

 「別解」というのは、例えば中学で習う「幾何」で、同じ「ピタゴラスの定理」を別の方法で証明する、というような、そんなアプローチです。

 今まで内閣府や経済産業省などのプロジェクト、諮問機関でいくつか仕事をさせてもらいましたが、そこで私が依頼されるミッションは、常に「情報学の立場から」問題を考えるというものです。

 というのも、審議会などでは、同じ円卓には必ず経済の専門家や法律家などが居られるわけです。そんな場で私が大上段に振りかぶって経済や法を語るということはあり得ない。

 それらの観点についてはもっぱら聞き手となって、メモを取りながら感心して聞いている。私の論は必ず「情報」という手筋を通り、根拠を示しつつ進めることになるわけです。

田中秀征氏の「無償経済理論」

 2000~01年にかけて、小宮山宏・東京大学工学部長(現東大総長)をはじめとする先輩から、いきなり「政策の下書きを書け」というミッションをもらって、私はこういう仕事を始めました。

 とはいえ、よいお手本を見て、それを解析して自分のモノにする、勉強のプロセスがないと、きちんとした仕事はできません。そこで、いろいろな政策勉強会を覗いてみることにしました。

 中でも、とても感心したのが田中秀征さんの研究会でした。1990年代、私は「さきがけ」の「小さな政府」型政策に好感を持っていたこともあり、何回か出席させてもらいました。

 田中さんのお話で、一番印象に残ったのは「無償経済」という話題です。これは田中さん独自の用語で「貨幣経済」に対立するアイデア、通貨を媒体としない経世済民の謂いです。

 これは、それこそ路地で自家用の野菜を作る、といったことから、様々な社会活動まで、広範な内容を含む概念です。

 ここで田中さんは、好対照をなす例を2つ挙げました。今、私の記憶の範囲で要旨をまとめてみますと、第1の例は次のようなものでした。

 1980年代、オセアニア近辺赤道直下の「タロロンガ島」では、グアムばりの観光立国でドルなどの外貨獲得を目指していた。

 そこを襲ったブラックマンデー。果たして観光客は全く来なくなり、後に残ったのはホコリを被った白亜のペンションの山と、膨大な借金の山。

 仕方なく国の労働力の中心は、ローン返済のためにオーストラリアやニュージーランドに3K仕事の出稼ぎに出て、後に残ったのは老人と女性、子供ばかり。

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