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我儘を売りにできる創作料理旺盛な人
(その5)

ひらまつ社長・平松宏之――浮遊した高級フランス料理

  • 高橋 三千綱

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2007年11月30日(金)

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 82年4月、30歳で「ひらまつ亭」を妻とふたりのアルバイトで開いてから、丁度6年後の88年5月、平松宏之さんは、広尾に「レストランひらまつ」を開店する。

 バブル経済が頂点にさしかかっていた時代だった。都内にはその数年前から、フルコースで3万円以上する高級フランス料理店が、つぎつぎと誕生していた。日本にフランス料理が入ってきて20年。その頃、フランス料理は、グルメ志向の人々の間でブームになっていた。



 「『ひらまつ亭』というのは、ビストロの範疇に入ります。そうではなく、本格的なレストランとして参入したかった。俗に言うブランドですね。きっちりとしたレストランという意味で、レストランひらまつ、という名前にしたんです」

平松 宏之(ひらまつ・ひろゆき)

平松 宏之(ひらまつ・ひろゆき)
1952年横浜市生まれ。本名、博利。高校卒業後、72年東京YMCA国際ホテル専門学校入学。同時にホテルオークラ入社。82年、東京・西麻布に「ひらまつ亭」開業。2001年パリに出店し、翌年「ミシュラン」1つ星を獲得。レストランやカフェを運営する「ひらまつ」は04年東証二部に上場した。



 フランスでは老若男女が楽しむ、カフェ、がいたるところにあり、その上で料理も味わえる庶民的な店、ビストロがある。ひらまつ亭は、このランクにいたと平松さんはいう。 ビストロからさらにランクが上がると、星なしレストランから、最高峰の3つ星レストランまでつづく。



 丁度、富士山のすそ野から頂上までを見るように、きれいなヒエラルキーができている。ちなみに、現在パリにある3つ星レストランは、10店のみである。これは、タイヤメーカーのミシュラン社が格付け評価した、最高峰のレストランという意味である。



 この星によるレストランの格付けは日本にもあり、当時、「グルマン」という本にして公表していた。



 「ひらまつ亭」が大入り満員を続けている頃、フランス料理のシェフが集まった会合で、平松さんはある先輩シェフから、



 「いくら客が入って儲かったところで、フランス料理店としての格付けがなくては、なんにもならない」



 といわれたことがある。


 この言葉はこたえたようだ。だが、そういった人を恨んだりせずに、逆に発憤するところが平松さんらしい。



 それは、ひらまつ亭を開いて3年目頃だった。それまでフランスで習った料理をそのまま客に出していたのだが、これではいかん、と思うようにもなっていた時期と重なっている。フランス料理に対する客の知識が、自分が思っていたより、ずっと高いものであると実感しだした頃でもあった。



 それからは、素材を眺めて、では、どんな料理にしようか、と考え、試行するようになった。そのうち、こんな料理を食べたい、と自分で想像するだけで、思ったとおりの料理が作れるようになった。



 「フランス風日本料理ではない。自分が創作したフランス料理が、これなのかもしれない」 



 ジャックにいわれた言葉はまだ腹の底に沈殿していたが、素材を見ただけで、自分独自のイメージがどんどん湧き上がるにつれて、ジャック以上に、自分は天才なのではないか、と自信とうぬぼれが混在した思いを抱くようにもなっていった。



 その思いがうぬぼれではなく、自分が、本格的なフランス料理店を出せば、きっと3つ星がもらえるはずだ、とはっきりと自信が芽生えたときに、平松さんは、広尾に4階建てのビルを借りることにしたのだ。



コメント1件コメント/レビュー

数多ある高級フランス料理の中で、何故に「ひらまつ」がトップの地位にあり続けられるのか。先日、レストランサービスの技能五輪出場者が「ひらまつ」で特訓を受けている姿がTVで映し出されていた。どこにもある修行風景かもしれないが、そこでも、オーナーの自己満足のためでなく、あくまでお客様を満足させることを第一とした理念で貫かれており、スタッフの教育を大切にする姿勢が良く出ていた。レストランの善し悪しは、所詮はサービスを提供するスタッフの質で決まる=同時に、従業員を大切にするオーナーであるからこそ、今の評価があるのだろう。(2007/11/30)

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数多ある高級フランス料理の中で、何故に「ひらまつ」がトップの地位にあり続けられるのか。先日、レストランサービスの技能五輪出場者が「ひらまつ」で特訓を受けている姿がTVで映し出されていた。どこにもある修行風景かもしれないが、そこでも、オーナーの自己満足のためでなく、あくまでお客様を満足させることを第一とした理念で貫かれており、スタッフの教育を大切にする姿勢が良く出ていた。レストランの善し悪しは、所詮はサービスを提供するスタッフの質で決まる=同時に、従業員を大切にするオーナーであるからこそ、今の評価があるのだろう。(2007/11/30)

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長