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達人は「習熟」を自ら否定する

~文化財修理技術者 鈴木裕~

  • 茂木 健一郎

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2007年12月4日(火)

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 今回お話を伺ったのは、古文書などの文化財を修理する技術者の鈴木裕さん。ときには1000年もの時間を経た文書を、熟練の技を駆使して修理するという日々の仕事に取り組んでおられる。しかし、鈴木さん「習熟してはいけない」と常に自らを戒めているという。

 人間は自然に習熟してしまうものだ。脳の働きとして、それは回路に書き込まれてしまうため、「習熟」自体を壊すことは絶対にできない。だから、それを揺らし、そこから逸脱することのほうが、習熟よりもよほど難しい。しかし、それをやらないと新しい発見や進歩はない。

 それを鈴木さんくらいになると意図的にやれるようになるのだろう。習熟することが大事だと言っているうちは、まだ初心者のレベルであり、熟練した人になると習熟は当たり前で、逆にそれを破るという方向に関心が行く。

 世阿弥の花伝書にあるように、型が身についていない人間が破天荒なことをやったとしても、それはぜんぜん板についていない。しかし大名人が型破りをやると良いのと同じことだと思う。

 自然に習熟ということは身についているのだけれど、そこから外れることによって、何か新しい境地が切り開かれる。だから、鈴木さんの「習熟するな」というのは、習熟しきった達人だけが言えることだ。

 型があってこその型破り、習熟してこその習熟なし。そうして1つのところにはとどまらない。それが生命原理なのだろう。

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仕事は体で覚えるな
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
12月4日(火)午後10:00~10:45
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05~1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05~4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 日本の文化財の修復で、「超一流」と呼ばれる男がいる。文化財修理技術者・鈴木裕(55)。書や絵など、紙を素材とする文化財の修復のエキスパートとして、数々の文化財をよみがえらせてきた。
 
 国宝「東大寺文書」、「上杉家文書」など、その手腕と技術は業界では屈指。教え子は大英博物館やボストン博物館など世界中で活躍する。
 
 和紙の修復は、繊細な作業だ。虫食いや破損の部分を、性質の近い紙で補修。さらに強度を確保するため、裏側から和紙で「裏打ち」を行う。ミリ単位以下の精度を求められる、失敗の許されない現場。アクセサリーも化粧も厳禁という、静かな緊張感の漂う仕事場だ。
 
 そんな鈴木の仕事の流儀は、「紙の声を聞く」こと。一点一点、作られた時代背景や材質、痛み具合などが異なる文化財。それぞれに最適な修復をするために、徹底的に文化財と向き合い、その特徴を調査する。「習熟しない」ことこそ、大事だと鈴木は考えるのだ。
 
 番組は、福岡・太宰府市にある九州国立博物館での鈴木の仕事に密着。日本が誇る「紙」の伝統文化を守る鈴木の流儀に迫る。


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