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「子供」であり続けるための方法論

~絵本作家 荒井良二~

  • 茂木 健一郎

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2007年12月11日(火)

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 創造的であることは子供であり続けることだ。これは我々脳科学を研究する人間の間では、なかばコンセンサスだが、問題はそれを実現する方法論だ。そのためには、習熟するのではなく、わざとやりにくくしたり、ぎこちなさをわざと演出するという方法論に出会えたのが、大きな収穫だった。

 今回お話を伺った絵本作家の荒井良二さんは、自分の中にある「子供」といかに向き合うかを突き詰めて考え、それを創造に生かすための方法論を実践しておられる。扱いにくい折れた色鉛筆の先だけを使ったり、左手を使ったり、わざとやりにくい方法で描いている。子供は大抵のことは初めてやるわけだから、自ずとやりにくいし、動きがぎこちない。

 研究者でもビジネスの世界でもそうだが、一部のクリエイティブな人は、「子供らしさ」を残している。それは、誰の中にもある。しかし、大抵の人は分別がついて、大人になったと考えてしまっているが、実はただ単に眠っているだけだ。荒井さんが言う「子供・天才スイッチ」を入れれば、それが目覚めるかも知れない。そう考えるといろんな人に希望を与える。

 以前から考えていたことでもあるが、単に未熟な“ガキ”であるのと、酸いも甘いもかみ分けて、経験をつんでから大人が目指す「子供」という状態とは違う。大人は、生物学的な子供にはなれないけれど、そういう意味で子供は「子供」になれない。大人だけが子供になれる。これは偉大な逆説だ。世阿弥が、花伝書で触れているように、若者が勢いにまかせて発散する魅力は「まことの花にあらず」で、老いてこそ花が咲く。

 「子供になる」というのは、うまく脱抑制することだ。新しいビジネスを開発するにも抑制をはずすというのが大事だ。荒井さんがおっしゃっているように、例えば「グランドピアノに手で絵の具を塗ってはいけない」と、思い込んでいるから、思いつかないことはいっぱいあるはずだ。ユーチューブなどもそうだが、特にIT系の新しいビジネスは、「子供」だからこそ実現したものだと言える。

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きのうの自分をこえていけ
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
12月11日(火)午後10:00~10:45
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05~1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05~4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 絵本の世界で国際的な評価を受ける絵本作家・荒井良二(51)。『うそつきのつき』、『たいようオルガン』『ルフラン・ルフラン』……。その著作は100冊以上にのぼり、2005年には児童文学界のノーベル賞といわれる、スウェーデンの「アストリッド・リンドグレーン賞」を東洋人として初めて受賞。荒井の国際的な評価は揺るぎない。
 
 荒井の絵本には、ストーリーらしいストーリーがない。絵もまるで子どもの落書きのようにも見える。しかしそれが子どもの感性を直接ゆさぶる。
 
 荒井は常に子どものような感性を磨こうとしている。その一つが、「にちじょう・じゃーにー」。外出の途上。ちょっとしたことに目をとめ、執拗に観察を行う。「大人は、知識があるから理屈で考える。しかし子どもはもっと自由に発想をする。絵本も「知識」や「理屈」で描いていては子どもの心はつかめない。」と荒井は言う。
 
 荒井は、今、これまでにない絵本作りに取り組んでいる。「知識」や「理屈」をさらに排除するために、荒井は今回、思いもかけない絵本作りの手法に挑んだ。果たして虚心に絵本と向き合うことは出来るのか。荒井の知られざる創作現場に迫る。


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