「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」

日本人はバカになったのか?

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2007年12月21日(金)

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 新聞によると、最近の学生たちの勉強の能力評価が、世界比較では順位が落ちてきたそうだ。読解力の低下が目立つという。

 そんなことニュースで教えてくれなくたって、一歩外に出ると痛感する日々だ。あるラインがあって急に言葉や文章が理解できなくなったワケではない。大人の社会人からそれは既に始まっている。

 新幹線でお菓子や弁当を載せたワゴンが来た。いつも車内のワゴンでチーズナッツの小袋が売られているのだが、私はそれを数個ほしかった。

「ナッツのお菓子はありますか?」と聞くと、
「はい」と言って売り子はピーナッツのみ入っている大ぶりの袋を差し出した。

「他にナッツの入ったお菓子はありませんか?」と聞くと、
残念そうに「ありません。これだけです」と言った。

 一応、念のため聞いてみた。
「チーズとナッツの小袋のお菓子はないんですね?」

 すると売り子は普通に答えた。
「ございますよ」
そして袋を私に取って見せた。

 すでにここで私は軽い頭痛がしているが、まだ耐えられる。
「それいくつありますか?」と袋を見て聞くと、
 売り子は「さあ」と首を傾げた。

「いくつあるか今、見れば分かるんじゃないんですか?」と
ワゴンを指差して言うと、売り子は困った顔をして答えた。

「ナッツが何粒入っているかは、袋の中を数えたことがないので分かりません」

私は聞き方を変えた。
「ナッツの数ではなく、袋の数です。今、このワゴンに、何袋の、チーズの入ったナッツ菓子が、乗っていますか?」
「4つです」
「じゃ、2つください」
「はい」

 私はまるで、外国人にも理解できるよう、日本語を聞き取りやすく発声するようにして喋った。もし“読解力”とやらがあれば、会話はもっと端的に簡略化できただろう。

 やがて、若い女性の車掌が乗車券のチェックに来た。

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著者プロフィール

遙 洋子(はるか・ようこ)

遙 洋子

大阪府出身。タレント・エッセイスト。関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、その体験を綴った著書『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(ちくま文庫)を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。近著に『主婦たちのオーレ!』(筑摩書房)、『女ともだち』(法研)など。公式ウェブサイトはこちら



このコラムについて

遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」

時事問題を独自の視点で切り込むタレントでエッセイストの遙洋子氏が、男と女が食い違うワケをユニークな視点で解説していく。

【編集部から】
2010年4月から、遙洋子さんの新コラム「遙なるコンシェルジュ『男の悩み 女の嘆き』」が始まりました。こちらもご覧ください。

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