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匿名性幻想でネット環境は悪化する

企業・大学で実名原則の徹底指導を(CSR解体新書23)

2008年1月8日(火)

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 一年の計は元旦にありと言うように、物事は「始め」がとても大事です。そういう観点で日本でのインターネット普及を考えると「始め」らしい始めはありませんでした。

 何となく普及してしまった。この経緯が、様々な問題の一因をなしている気がします。

 そこで年初に当たって、新しい気持ちで「インターネットへのアクセス、本当はいかにあるべきか」を検討してみたいと思います。最初に考えるのは「ネットワークの匿名性」に関する認識の誤りについて、です。

「実名情報公開が大原則」

 「インターネットは匿名のメディア」とよく言われます。最初に結論を言ってしまいましょう。これは大きな誤解です。最初から「そういうモノだ」と皆が思い込むことで、ネットワーク社会は大変に面倒なものになってしまいました。

 ここで「インターネットというのは、実名情報公開が原則」だと、社会の皆が思うことになったら、どうでしょうか。

 ネット上での実名情報公開自体は、別段珍しいことではありません。例えばこの「NBオンライン」書き手サイドはほぼ全員、自分の実名も顔も明らかにしたうえで記事を書いています。

 「インターネットというメディアは、基本的に実名で情報を公開してゆくメディアである。同じメディアを利用して、匿名的なコミュニケーションも行うことができるが、大原則は実名を伴う社会的責任を負って、情報のやり取りをするツールである」

 こんな「常識」を持った「情報社会A」(と仮に名づけてみます)と、「インターネットは匿名的な情報通信が基本」と思っている「情報社会B」(と呼ぶことにすれば)とは、ネット上でのモラルに天と地ほどの違いが出てくること、想像に難くありません。

 実はこれ、私が大学で「情報」「情報処理」などの科目を教える際に、学生に教える1の1にほかなりません。

1人称複数の共同責任

 世界中の多くの学校機関と同様、私が教えてきたいくつかの大学でも、学生にコンピューターのユーザーアカウントを発給しています。

 誰かが学校に所属し、そのアカウントを使って情報のやり取りをする時は、個人はもとより、実は大学側のシステム管理者にも責任がある形で情報の送受信を行っています。

 そして、それをきちんと意識している初心者学生は、皆無と言って過言でありません。

 私が最初に教壇に立ったのは慶応義塾大学でした。ここでネットを使う講義演習を持っていた時期「keio.ac.jpというアカウント、いわばネットワーク上の住所を持って情報通信する際には、自分だけではなく、必ず何人もの慶応義塾のシステム管理者のお世話になっていることを、絶対に忘れてはいけない」という話から始めました。

 これは考えてみれば当然のことです。もしkeio.ac.jp のアカウントで何らかの情報事故が発生すれば、世間からは「慶応のシステムで」「慶大生が」問題を起こしたと言われます。また問題の解決には、少なからざる大学側の管理者に手間をかけさせてしまうでしょう。

 ユーザーとしては1人でシステムを使っているつもりでも、いわば常に「1人称複数の共同責任」を他人に負ってもらいながらネットワークを利用している。そういう自覚をきちんと持って行動するように、認識を徹底させました。

 同様の事柄は東京大学、西武文理大学、平成国際大学、東京藝術大学など、私がネットワークを使って講義・演習を行ったすべての教育機関で、必要が発生した際には最初に伝えました。

郵便制度を引き合いに

 ところが、学生の中には、先ほど記したように「ネットワークは匿名のメディア」と思い込んでいる者が少なくありません。大学に入る前に、我流で悪い癖をつけてしまっているのです。こういう手合いは認識を矯正することから始めねばなりません。

 「匿名幻想」に取りつかれている学生には「ネットワーク全体の中は、匿名で使うことも可能な部分が存在する。また、匿名性があることで発生する固有の利便も存在する。けれども、あくまで情報送受信は、実名を伴う自分の社会的全責任が伴うのが大原則」と教えます。

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