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粗悪と狡猾の間で

2008年1月11日(金)

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 大阪の老舗ホテルのパーティに招待された。帰りにクロークで預けたコートを受け取り、駐車サービス券をもらうべく駐車券を差し出した。それを受け取ったクロークは不思議なものを見るような目つきで首を傾げ、駐車券をじっと見て固まった。この時点で私はこの駐車券をクロークから奪い取るべきだった。

 「ちょっとお待ちください」と、クロークは私の駐車券とともに誰かに尋ねにどこかに消えた。私を見送るべくホールから出てきている主催者たちと私は、ずっとそのクロークが戻るのを手持ち無沙汰に待った。私の車で共に帰ろうとする知人もまた、クロークを待った。

 随分経ってからクロークは戻り、私の渡した駐車券をそのまま私に返して言った。
「駐車サービス券は、2階フロントでお受け取りください」

 6階のパーティ会場で、クロークも6階にあるというのに、なんで駐車券だけが2階なんだ、といぶかしんだが、ホテルマンがそう言うのだから仕方がない。

 主催者たちに派手に見送られて、パーティ会場を後にした。

 2階のフロントで駐車券を出した。フロントは不思議なものを見るような面持ちでじっと駐車券を眺め、「どちらのご利用でしょうか」と聞いた。

 私が車を止めたのは、まぎれもなくこのホテルの駐車場だった。そのホテルを利用して駐車サービス券をもらうのに、ことごとく不思議な顔をされることに私は苛立った。

「6階のパーティのご招待です」

 それを聞いたフロントは、ファイルを探し、そのパーティの所在を長い時間かかって探しだした。やがて、「駐車サービス券は、6階でお渡しすることになっています」と言った。

「その6階で2階に行けといわれたのよ」
「しかし、6階でお渡しするようになっていますので」
「どうしてもここでは渡せないというわけ?」
「はい。6階で」
「じゃあ、もうけっこう」

 声を荒げ立ち去る客に、詫びもなく、平然とホテルマンは私たちを見送った。パーティを主催し、私たち客を招待した主催者の思惑とは真逆の、失礼千万、不快な結末を、ホテル側が提供した。

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「粗悪と狡猾の間で」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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