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【番外編】ホッピー再生物語の著書がヒット

ホッピービバレッジ3代目石渡美奈さん

  • 白河桃子

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2008年1月28日(月)

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 一時は8億円台に落ち込んでいた年商を2007年3月期には23億円までに急回復させた、ホッピーブランド再生の立役者、ホッピービバレッジ副社長の石渡美奈さん。

ホッピービバレッジ副社長の石渡美奈さん

ホッピービバレッジ副社長の石渡美奈さん(山田 愼二、以下同)

 本コラムに最初に登場してもらったのは、2006年11月だった(記事はこちら)。その後、2007年9月に自らのブランド再生物語をつづった本『社長が変われば会社は変わる!』が、発行4カ月で2万2000部の大ヒット。5回の出版記念講演での参加者は1000人にも上った。

 本書には、筆者が取材した後に起きた様々な事件――創業以来初の自主回収など――も書かれている。その後のホッピーと著作のヒットにまつわる裏話などを伺いに、再び石渡さんを訪ねた。

 「本を出してから、私と会社を取り巻く環境が劇的に変わりました」という石渡さん。2007年夏に、阪急コミュニケーションズから「本を出しませんか」という1枚のファクシミリが入ったのが、出版のきっかけだ。この本には、本コラムで取材した時点ではオフレコだった話――同族企業ならではの「お家騒動」や、「美奈についていく」と言ってくれ、信頼していた工場長が、改革を焦る石渡さんに反発し辞表を出した事件なども書かれている。

 石渡さんが経営の「軍師」と仰ぐ、武蔵野代表取締役社長の小山昇さんのおかげで、この工場長は翻意してくれたのが幸いだったが、こういった事実も包み隠さずに書かれている。「本を出してほしいと言われて単純にうれしかった。必要以上に人を傷つけるつもりはないのですが、ひとつの区切りとして正直に書きました」と石渡さん。

石渡さんの著書の発売記念に作った、記念ラベルのホッピー

石渡さんの著書の発売記念に作った、記念ラベルのホッピー

 出版の効果はダイレクトに会社の売り上げにもつながった。「2007年の11月、12月は過去最高の売り上げを記録しています。本が起爆剤になったのですね」と石渡さん。「でも正直なところ、社員は大変。昨日と今日で出荷が1.5倍も違うので製造が間に合わず、そのフォローに営業スタッフが走り回る状態。今はつらいけれど、みんなで頑張って乗り越えよう、と言っています」とうれしい悲鳴を上げる。

 正直言って、経営者が自著を出すことがそこまで商品の売り上げにつながるとは思っていなかった。しかし石渡さんは「いえいえ、本を出すからには絶対に会社の業績に反映させようと方針を決めました」と言い切る。「業績につながらなければ、ただの経営者の道楽です。ホッピーをもっと皆さんに知ってもらい、愛してもらえるよう考えながら執筆しました」

 本ができてからは、出版社の営業部員と一緒に50軒もの書店を回った。さらに、石渡さん1人で営業したこともある。普通、本の著者が自分で書店回りをすることは滅多にない。しかも、「○○(女性誌)の×月号の書評に載りますから、その時は目立つように店頭に書籍を置いてくださいね」と細かい依頼までする。書店が売りやすいよう、営業のツボを心得ての書店回り。出版社は、1冊の本のためにここまではなかなかできない。

 著書が新聞や雑誌の書評に取り上げられ、取材や講演依頼も増えた。ただ残念なことに、「講演を頼まれても、申し訳ないのですが、関東圏以外はお断りせざるを得ません。ホッピーは関東圏を出ると知名度がググッと落ちるので、実績につながらないのです」と石渡さんは言う。

街で見かけるホッピーの宣伝トラック、通称「ホピトラ」の紙模型

街で見かけるホッピーの宣伝トラック、通称「ホピトラ」の紙模型

 今回は、石渡さんにぜひ聞きたいことがあった。以前取材した頃よりさらに、ホッピーファンが増えてきたのでは…、と感じていたので、どういう営業をしているのかと思っていたのだ。「組織を一から変えたことが、営業強化につながりました。以前はスタッフがバラバラに営業していましたが、今では経営者が方針を決め、それを数値目標と具体的な戦略に落とし込み、即実行できる部隊になっている。それが売り上げにつながっていると思います」

 しかしホッピービバレッジの営業スタッフは8人。うち3人は2007年の新卒で、営業課長職の中堅社員は採用課長も兼務している。同社の社員は相変わらず、1人で何役も受け持って頑張っている。

 「売り上げが伸びたといっても、『3歩進んで2歩下がる』という感じ。いつも、思わぬアクシデントが起きますから…」

 アクシデントの1つが、創業以来初の自主回収だ。2007年度は食品会社関連の様々な不祥事が取り沙汰されたが、ホッピーもこれらと無縁ではなかった。石渡さんはこの事件について著書の中で、「2007年6月17日の夜、お客様からのメールで発覚した」と書いている。

 1リットルのペットボトル入りグレープフルーツサワーに、異変が生じているというメールだった。酵母菌がペットボトルに混入して、沈殿物や異臭を発生する商品事故だ。調べたところ、原因は社内汚染だと判明した。社員から報告を受けた時のことを石渡さんは「まさに時が止まった! という感じでした」と語っている。

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