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生きる情熱からしかイノベーションは生まれない

~中小企業経営者 片山象三~

  • 茂木 健一郎

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2008年2月19日(火)

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 今回お話を伺ったのは、兵庫県西脇市で地場産業である織物の製造で、画期的な製造機械を手掛けている片山象三さん。直感的に見れば、繊維の分野では中国が隆盛していて、日本は斜陽産業となっている。だから見捨てればいいじゃないかという人はいるのだろう。けれど、片山さんはそこにあえて踏みとどまり、しかも技術革新をちゃんとやって、前へ進もうとしている。その姿を見ると、今の時代にすごく大切なメッセージを伝えてくれる人だと思った。

 ITに象徴されるように、職業というものは自由に選択して、ダメだったらスクラップする。ドッグイヤーあるいはマウスイヤーと言われるようなフットワークの軽さこそが、経済活動で目指すべき方向だという。片山さんは、こういう時代の趨勢とは逆方向に行かれている。自分が置かれたしがらみや宿命を受け入れ、そこから逃げずに踏みとどまっている。

 片山さんのお話で印象的だったのは、ヨーロッパ、特にイタリアなどへ行くとみんな地場産業に誇りを持っているという。それに対して日本人は誇りを持てないでいる。誇りを持って働いて、しかもまじめに働いている人がごく普通に暮らしていける社会を作るべきだという。これは本当に正論中の正論だと感じた。

 片山さんは単なる精神論だけではなく、実際にイノベーションを起こしている。また、見せ方をもっと変えるべきだというような現実的な提案もされている。以前、お話を伺った建築家の隈研吾さんの「制約に負ける」という話と通じるところがあり、制約を逆に力にしていく。日本の弱みと言われてる地縁やしがらみを大事にする社会が、やり方によっては力にもなる。

 スローフードと同じように「スローエコノミー」というものがあってもよいはずだ。それはすごく大事なことではないか。人間は間違いを犯しやすいものだ。例えばITとかWeb2.0は大きな時代の新しい流れだというのは間違いないが、こうした激しい動きが社会のリアリティを100%表しているのだと勘違いしやすい。

 新しい動きが1パーセントあったとしても、残りの99パーセントは変わらない。その残りのスローエコノミーを大事にしないと、生き方としてバランスを保てないという面がある。スローエコノミーという方面でも当然、イノベーションは起こっている。現代は、そちらを担う人材がひょっとしたら枯渇しているのかと思う。片山さんは、そういう貴重な人材のひとりだ。

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誰かのためこそ、力は出せる
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
2月19日(火)午後10:00~10:45
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05~1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05~4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 日本の地場産業の中でも空洞化が著しいと言われる繊維産業。その世界で常識を覆す技術革新を成し遂げ、国際的に注目を集める男がいる。片山象三(47)。兵庫県西脇市で機械販売を手がける中小企業の経営者だ。
 
 片山は5年前、地域のメーカーや研究者と共同で織物のコストを最大これまでの5分の1に引き下げる画期的なシステムを開発した。3年前にはすぐれた製造技術に贈られる「第一回 ものづくり日本大賞」を受賞。そのシステムには日本の繊維産業復活のヒントがあると期待されている。
 
 困難な開発を支えたのは「自分たちの力でこの産地を次の世代に残す」という思いだ。現在、このシステムにはドイツやイタリアなどヨーロッパをはじめ、ブラジルなど南米まで、世界中の繊維メーカーから受注が相次いでいる。
 
 今、片山はさらなる技術革新を目指し、新たな機械の開発に立ち向かう。いかに地域の心をまとめあげ、実験を成功させるのか。地場産業復興のひとつのモデルケースとして、そのカギを等身大のプロフェッショナルの姿から探る。


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