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「クセになる使い勝手」はどうやって作る?

ソニー・エリクソン開発チームインタビュー(前編)

2008年2月20日(水)

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 携帯電話、どれくらいで買い替えますか。買い替えるときは、どこを見て選びますか?
 3年振りに、私は携帯を買い替えました。その間に地デジは写るわ、デジカメはAFが付くわ、それなのにサイズはスリムになるわと大騒ぎでしたが、どうしても買い換えができませんでした。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(以下ソニー・エリクソン)のW21S(2004年7月発売)から動けませんでした。

ジョグダイヤル

 動けなかった理由は、ジョグダイヤルです(写真中央部)。

 ご存じない方は、マウスボタンの中央にたいていついているホイールが、携帯にもある、とお考え下さい。これを回すことで指先で画面を上下にスクロールでき、押し込めばボタン(たいてい「決定」)にもなる。長いメールやmixiの日記を読むのが、私個人の感覚としては、ものすごく快適なのです。

 「上下ボタンと何が違うの?」と言われるとちょっと困るのですが、指先と画面の動きが一致するのが気持ちいいのでしょうか。「あっ行きすぎた、戻って読み返し」といった細かい上下動が楽なこと、押しっぱなしのボタンより、なんだかクルクル回す方が楽しいような気がすること…。

 どうも、合理的に説明できる理由だけではないようです。使っているうちに「なんだか俺、これじゃないと、ダメなんだよね」という状態になってしまった。これを言わされたらもう負けです。ネットで検索してみると、私のように後継機を待っていた人はやっぱりけっこういるようです。

 そこでハタと気づきました。それをユーザーに言わせるために、売り手、作り手はどう考え、具体的には何をやったのでしょう。

 「もうジョグ付きの後継機は出ないよ」との、まことしやかな事情通の噂に耐えて待った甲斐があって、2007年10月にauからジョグ付きの後継機「W53S」が発売され、ドコモにもジョグ付きの機種が同11月に復活(センタージョグではSO505i以来、4年振り)。今年2月15日発売のSO905iCSでもジョグ搭載と、にわかに搭載機が増えてきました。

 昨年、W53Sを発売日に即買いした勢いで、ソニー・エリクソンの開発チームに根ほり葉ほり、「クセになる使い勝手の作り方」を聞いていたのですが、満を持して今回ご披露します(このインタビューは2007年10月に行われたものです)。この記事の筆者自身がハマっている分、フラットで客観的なインタビューではありませんが、クセの正体にちょっとだけ深く入り込めた…かもしれません。

※なお、ジョグ復活までに時間を要した経緯はこちらにまとめました。また、W53Sの全体像などにすいてはこちらに充実したインタビューがあります。他社さんのお仕事ですが、敬意を込めてご紹介させていただきます。


*   *   *

―― ジョグ搭載機を一日千秋で待ち望んで、10月5日にさくっと買わせていただきました。

商品企画担当 冨岡: ありがとうございます。発売日に。

―― ええ、発売日に買いましたよ。触りもしないで買ったという。

ソニー・エリクソン W53S

ソニー・エリクソン W53S(写真:大槻 純一、以下同)

冨岡: いかがですか。その結果は。

―― やっぱりジョグは自分にとってはたまらない(笑)。本体はW21S比でずいぶんと軽くスマートになって、でも操作系の品のよさは相変わらずで、ジョグも小さくなったけれどメリットはちゃんと生きていて。W53Sのセールスポイントの、ガワの着せ替え機能の面白さは正直私には分からないんですが、個人的には言うことなしです。とはいえ、3年間でしたっけ、先代のジョグ搭載機発売から。

冨岡: そうですね、発表時点で考えますと約2年半ですが。ジョグ搭載機を望まれる声もその間に沢山いただきました。

―― 店頭ベースで3年ちょっと待たせてもらったからには、それだけ待った事情と、このジョグダイヤルの操作系が支持を得てきた理由を、この機会にぜひうかがいたいと思います。お越しいただいたお三方の役割分担というか、どういうことをやっていらっしゃるかを、まず最初に頭に入れさせていただいてもいいでしょうか。

ハードウエア開発担当 井澤: 私は、ジョグのハードウエアの開発、デバイス開発が担当です。どういう構造で、どういう動きをするものを作ろうかな、から始まって、いろいろな操作感、加重感、フィーリングなどを調整しながらデバイスを作り上げていくという仕事です。

―― (私物のW21Sを取り出して)このころからやっていらっしゃったんでしょうか。

左が3年モノのW21S

左が3年モノのW21S

井澤: あ、それちょっと見せてください(と、W21Sを受け取って仔細に操作、ジョグをくるくる回し)…はい問題なし。まったく大丈夫。まだまだ使えますね。私はこのW21Sも担当しましたが、もっと前、実はジョグの最初からやっていました。

―― じゃあ「クルクルピッピ」の頃から?

井澤: はい。サイドジョグですね。初代は1995年でしたか。ずいぶん前ですねえ。

冨岡: 私は商品企画担当ということで、ジョグを含めた総合的なコンセプトづくり、ターゲットユーザーの選定、デザイナーと一緒にデザインを考えたり、通信キャリアさんとのそのモデルの位置付けの擦り合わせ、そういったところを全体的に見るような担当です。

左から井澤さん、冨岡さん、向井さん

左から井澤氏、冨岡氏、向井氏

 ジョグのところに関しては、今日はどちらかというとエンジニアのお2人に聞いていただくのがいいかなと思います。私はトータル的な商品コンセプトをご説明します。

ソフトウエア担当 向井: 僕はジョグのソフトウエアの方を全体的に担当させていただきまして、パフォーマンス、操作性、そして今回追加になりました「アクセル」といったところを全般的にやらせていただきました。

*   *   *

―― 最初に、ジョグダイヤルをずっと手がけてこられた井澤さんにうかがいたいのですが、そもそも「ジョグダイヤルファン」の存在って、意識していただいているのでしょうか。「ファンの声」を聞いたり、感じることはありますか?

井澤: メーカーの手元に返ってきたものを調べますと、「こりゃすごい操作回数だ、このジョグダイヤル、こんなに使われていたのか」と驚くことがありますね。

―― それはそうですよ、ジョグダイヤルが使いたくて買いますからね。用がなくても回したいくらい(笑)。

井澤: やっぱり人間の感覚としては、「物を動かす」のが楽しいみたいですね。

―― …そうです、そうなんですよ。

井澤: 物理的に動かすのが。

―― 言われてみれば、十字キーは押しても全然楽しくないんですよ。良い悪いではないですよ。機能としては十字キーは大変立派なもんで、でも、ジョグをいじるのは楽しいんですよ。だからついつい回しちゃうんですよ。大槻(カメラマン)君、あきれたような目で見ないでください。

冨岡: まさに、確かにおっしゃる通り、ちょっとジョグの話とまた変わっちゃうかもしれないんですけど、「カバーフロー」(iPod touchで聴きたいCDアルバムを選ぶときに、画面上でカバーアートを「めくる」ような操作ができる)や、ホイールによるスクロールにも、それと通じるところがあるんじゃないでしょうか。

―― それはつまり…

冨岡: 「操作しているだけで気持ちがいい」という、ユーザーエクスペリエンスがかなり商品の差別化の肝になってきている。それは感じます。

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「「クセになる使い勝手」はどうやって作る?」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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