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時津風部屋に見る「局所最適・全体崩壊」2

あなたが裁判員ならどう裁きますか?(CSR解体新書30)

  • 伊東 乾

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2008年2月26日(火)

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 前回に続いて「時津風部屋暴行事件」を考えてみましょう。今回と次回は私たちが「裁き手」の立場に仮想的に立ったものとして、この問題を検討してみたいと思います。

 改めて言うまでもないですが、私はジャーナリストではないし、読者の多くの皆さんも独自の取材網など持っておられないことでしょう。つまりこの事件に関する大半の情報は、マスメディアを通じて得るしかありません。

 すべて人づてにもたらされた、確度の定かでない情報だけで、私たちは様々にこの事件に対して「心証」を持ちます。これが単に、メディアの一読者としてであれば、どういう意見を持っても、ほかに影響は与えません。

 でももし、計らずして「裁判員」のくじ引きに当たって、この事件を審理することになったら、無責任ではいられなくなってしまいます。以下では、40の手習いで勉強し始めた刑法、刑訴法の言葉も使ってみました。恥を忍んで、でもありますが、決意を持ってです。

 なぜなら、裁判員制度がスタートすれば、私たち国民すべてが、これらの言葉に無関係ではいられないからです。読者の中に法曹関係者がおられ、私の誤解や、誤読を導く表現を発見されましたら、どうかコメントでご指摘をお願いします。

 一応プロにも相談していますが、このコラムはすべて私自身の文責で書いています。

 先週いただいた「BC級戦犯」の表現は、「」つきで引いたものですが、まさに正確なご指摘をいただいたと思います。同様に今回も謙虚にご指摘を伺いたく思っています。私の誤謬訂正を含め、その全体が読者のご参考に供すれば、何よりと思います。

「時津風部屋事件」は市民裁判員に裁かれ得るケース

 改めて言うまでもないですが、時津風部屋事件は、日本国内で起きた重大な刑事事件で、2009年以後、裁判員制度がスタートするとこのクラスの事件なら かなりの確率で、第1審は市民裁判員の参加する裁判で裁かれることになります。

 私たち自身が、いつ、どこで裁き手になるかもしれない裁判員制度に関して、マスメディアによって身近に報道されているこの事件を通じて考えてみたいと思うのです。

 もし簡単にマスメディアに踊らされて、一過性の感情で判決など下したら、取りきれない責任を私たち自身も負うことになってしまいます。私たちはいかに冷静でいられるのか。それを、亡くなられた斉藤さんと、そのご遺族を念頭に、脳機能可視化の所見なども援用しつつ考えてみたいと思うのです。

罪状認否と犯意

 前回も触れた通り、今日の刑事裁判では、結果が同じでも、故意か、過失か、あるいは故意だとしても正当防衛などの状況か、などによって、問われる刑事責任、つまり判決と量刑が全く異なります。

 時津風部屋の事件でも、故意に被害者に暴行を加えたのであれば暴行障害致死、通常の稽古の結果、不幸にして事故が起こったのであれば過失犯で、裁判所の判断は全く違ってきます。

 現在の法廷、つまりもっぱら職業裁判官が裁く場合、どんなやり取りになるでしょうか。

 検事は犯意を前提に、重い論告や求刑を準備するに違いありません。これに対して、職業弁護士は「犯意はなかった」として、軽い刑事責任を主張する。これが一種の定石だと思います。

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