今回お話をうかがったのはサッカークラブのゼネラルマネジャーをされている祖母井(うばがい)秀隆さん。サッカークラブという組織をいかに強くするか、その基本的な設計に責任を持つ仕事をしておられる。
ある選手の能力を高めていくために、1つひとつの技術についてあれこれ言うよりも、たとえばライバルとなる選手を連れてくる。そういうことが効くのだと、祖母井さんはおっしゃっていた。これはまさに、自分の人生についてもそうだと思う。個々の技術論よりも、どういうセッティングをすれば自分の人生が伸びるのかを、各人が自分のジェネラルマネジャーになって考えればいいんじゃないかと。
祖母井さんは、ある仕事や案件に向きあう時、「フィニッシュ」という言葉をよく使われた。通すべき筋を通して、それが適わないならば「フィニッシュ=終わり」と、きっぱりと区切りをつける。その緊張感を持って目の前の仕事に全力を尽くすということが、大事なことだ。
個人と組織の関係を考える上で、どんな仕事をしていても、どんなやり方をしていても、その組織に定年までいられるというふうになった時、それによって失われるものがあると思う。
組織に属していないフリーランスで働いている人でも、ある程度仕事をやって何年かたつと、やり方が確立されて巡航状態になってくる。そのままでもずっと仕事を続けていけると思った時に、緊張感が失われると思う。
要求水準をすごく高く置いて、それが満たされなかったら「フィニッシュ」だという覚悟を持って仕事をしている人がどれくらいいるのだろうか。祖母井さんの仕事は、プロサッカークラブという、ある意味で特殊な世界であるけれど、それが組織にもっともピュアな形で表れている。
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