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埼玉の“奇跡”、目下進行中

大胆な行財政改革に挑む埼玉県 上田清司知事に聞く

2008年3月25日(火)

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 埼玉県が変わり始めている。

 前知事の11年間の在任期間中、債務が8000億円から2兆8000億円に膨らむなど、埼玉県の台所は火の車。そこに登場したのが当時、民主党の衆議院議員だった上田清司氏である。壊滅的とも言える財政状況の中、上田氏は財政再建を強力に訴えて当選。2003年9月に知事に就任した。

 以来、上田知事は行財政改革を強力に推し進める。既に、成果として実現したものも少なくない。例えば…。
 ・従来の2倍のペースで人員削減を断行した結果、県民1万人当たりの都道府県職員数(一般行政部門)は全国で一番少ない県になった。
 ・県債依存度を19.1%(2003年度当初)から15.9%(2007年度当初)に減らした。
 ・県の出資法人への県職員の天下りを廃止。さいたまスーパーアリーナや埼玉高速鉄道などの出資法人が黒字化した。
 ・積極的な企業誘致によって、2005(平成17)年から2007(平成19)年3月までに237件の誘致に成功した──。

 もちろん、行財政改革は道半ば。上田体制は2期目に突入したが、さらにアクセルを踏む必要があるだろう。独自の手法で行政に変革をもたらしている上田知事に、この4年余りの取り組みを聞いた。

(聞き手は、川嶋 諭=日経ビジネス オンライン編集長)

──この壁のグラフはすごいですね。埼玉県に関するデータがそこら中に張ってありますけど、データを壁に張るのはどういう考え方からなのでしょう。

図版

知事室の壁にはぎっしりとグラフ、データが張り付けられている
(写真:陶山勉、以下すべて)

上田 日々、私が見て、流れが分かるようにするためです。既に反転し始めていますが、埼玉県では1989(平成元)年以降、納税率が下がり続けていました。なぜ納税率が下がるのか。前年比ばかりを見て、全体のトレンドを見ていなかったからです。担当課長や担当部長は2年で代わるでしょう。そうすると、「銀行が潰れるくらいだからね」「今は不景気だからね」という言い訳に終始してしまう。

──トレンドを見せ、他の都道府県と比較させることで、エクスキューズをやめさせるというわけですか。

上田 行政は「やったふり」が多い。例えば、商店街の活性化というテーマがありますね。進捗はどうだ、と県議会で質問されると、「はい、セミナーをやっています」「はい、リーダー育成事業を始めました」「はい、街灯の補助金を出しています」という具合に説明します。

 ところが、私が「その結果はどうなったの」と聞くと、もうみんな黙っちゃうわけ。1050ある商店街の中で、県の政策のおかげで売り上げを増やした商店街はいくつあるのか。売り上げの減少が少なかった商店街はどれだけあるのか。それを聞いても答えがない。

 こういったデータがなければ、政策評価なんてできないでしょう。政策評価ができなければ、改善、改革なんてできませんよね。別に数字が目標ではありませんが、ツールとしては数字が分かりやすい。だから、できるだけ数値化するようにしています。張り出しているのは、誰が見ても分かるようにするためです。

──まさに「見える化」ですね。知事の机の前に別の机が置いてありますが、これにも何か意味があるのでしょうか。

コメント27件コメント/レビュー

上田知事の業績に経緯を表します。ただ、埼玉県の周産期医療をはじめ救急、小児科など多くの医療システムが崩壊の危機に貧しているにもかかわらず、県は全くといって良いほど手をつけようとしていないのは、何か特別な理由があるのでしょうか?(2008/03/31)

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「埼玉の“奇跡”、目下進行中」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

上田知事の業績に経緯を表します。ただ、埼玉県の周産期医療をはじめ救急、小児科など多くの医療システムが崩壊の危機に貧しているにもかかわらず、県は全くといって良いほど手をつけようとしていないのは、何か特別な理由があるのでしょうか?(2008/03/31)

民間企業なら当たり前のことですが、官庁がやると「奇跡」と言われちゃうのですね。苦笑。民間は企業競争に負けないために、生き残りを掛けて、紙1枚、鉛筆1本から節約しています。価格交渉も1円以下の単位の攻防です。行政は最大のサービス業ということを忘れ、自らの組織やそこで働く人(公務員)を守るための活動(仕事?)に精を出している。日本の未来はどうなるのか?治安は悪くなるばかり、不安ばかり、そんな感じです。お金のある人はみんな移住しちゃうかも。(2008/03/28)

正直、日経ビジネスのサイトで「奇跡」というタイトルはどうかと思います。確かに、報道内容の通りのことは一部しか知りませんでした。しかし小さな子供のいる私にとって身近な医療についていえば、個人への補助がせこいのは財政上からやむなしとしても、産科や小児科の医療資源へはあまり投資せず、東京都に大いに頼っているとしか言いようがない現状は逆の意味で奇跡です。例えば、県立小児医療センターは県医療界の有力者の地盤に開設したものの、産科は遠慮しているせいか、設置されていません。(2008/03/27)

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