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「判例」は何のためにあるか?

論理の濫用は必然的に破綻する(CSR解体新書34)

2008年3月27日(木)

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 第34回のオンエアが3月27日になるということでしたので、ちょうど当日に当たるイベントを最初にご紹介したく思います。

 27日夕方6時半からフォーラム神保町の勉強会「『暴力団』報道とメディア」で、鈴木宗男衆議院議員、南出喜久治弁護士とご一緒してお話しします。

 改正暴対法の話題ですが、私はヤクザの経済事犯などを厳しく断じるところから話を始めるつもりです。ご興味の方はどうか覗いていただければと思いますし、このコラムでも後に関連の話題に触れる予定です。

 前回「裁判官コンピューター」という話題に触れたところ、読者から予想外に反響がありました。そこで予定を少し変えてもう少しこれについて考えてみたいと思います。

 今、この事件はカクカクしかじかの容疑で起訴されている、という罪状を入力すると「判決 無罪/あるいは有罪 刑罰 懲役何年執行猶予どれだけ」といった結論が、直ちに出てくるものを「裁判官コンピューター」と呼ぶことにしましょう。前回は、日本の現行法の体系は職業裁判官の裁量が大きく、その情状酌量を巡って弁護側と検事とがやり取りするのが裁判であるため、唯一の結論を出す「裁判官コンピューター」は不可能だ、という話を展開しました。言ってみれば「一点状の正解」は存在しない、ということです。

「生活笑百科」から「行列のできる法律相談所」へ

 こうした問題はテレビ番組の変遷を見ても理解できるところです。かつて、お茶の間の弁護士番組といえばNHKの土曜日、お昼の時間に、上方落語の笑福亭仁鶴師匠が司会する「バラエティー生活笑百科」が最もメジャーでした。

 この番組は、漫才仕立てで相談が持ち込まれ、仁鶴師匠が「弁護士の先生、法律はどないなってまっか?」と訊ねると、1人の弁護士が「法律ではこうなってまんのや」と答える、言ってみれば「一点状の正解」で応じる形態になっています。

 もし日本の法廷が検察官と判事で構成されていて、起訴された被告人が弁護の余地なく、直ちに判決が下されるシステムであれば、このような回答で用が足りるはずです。しかし、法廷の現実を知る人には、これは食い足りません。もし訴状が確定し、その段階で判決まで決まっているとしたら、弁護士を立てる意味もないし、弁護士の有能無能もなくなってしまうでしょう。

 「生活笑百科」より現実に近づいた弁護士番組として、民放の「行列のできる法律相談所」があります。ここもやはり上方のお笑いがベースになっており、持ち込まれた相談の再現ビデオをもとに、島田紳助司会のもと4人の弁護士が法律を適用して答えを出します。その4人の意見の分かれ方から「勝率何割」というパーセンテージで相談者には解答が出される。

 「絶対にこうだ!」という一点状の正解ではなく、確率的な解答になっているトコロがミソです。この番組で世に知られるようになった橋下徹弁護士は大阪府知事に当選しましたから、いまや十分にメジャーなテレビ番組と言えると思います。

天気予報からブラック・ショールズ方程式まで

 この「勝率何%」という表現から、天気予報の「降雨確率」を思い出す方がおられるかもしれません。かつて私が子供の頃、天気予報では「東京地方、明日は晴れのち曇り、ところにより雨」といった形で、曖昧ではあるものの、断定型の表現が取られていました。

 ところが現実のお天気は晴れたり曇ったり、断定するとむしろ外れてしまうことの方が多くなってしまう。そこで導入されたのが「確率予報」という方法でした。80%の確率で雨が降る、ということは、20%の確率で雨が降らないということでもある。つまりここでは2つの答えを同時に出している、いわば「イエス アンド ノー YES & NO」型の解答になっているわけです。

 ギャンブル、投資から人間の余命まで、白黒、右左が一点状に定めにくい問題が世の中にはたくさんあります。こうした問題を議論するうえでは、確率という概念が重要になってきます。確率量を扱って、ビジネス現場に身近なものに金融工学があります。「ブラック=ショールズ方程式」などの名前は有名になりました。

 1970年代以後のファイナンス市場は、確率微分方程式や統計学などの数学理論を背景に、人工的に作られたものです。デリバティブなど各種の金融派生商品が設計、発売できるようになったのも、数理的な背景があってのこと。ここでは深く踏み込みませんが、こうした確率量を扱う議論を大きく進展させたのは、電子や原子・分子の挙動を正確に記述する「量子力学」と関連する統計数理の発展があります。そこでは確率的な量(量子力学では「波動関数」と言います)を扱わねばならなかったことが、大きく影響しています。

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